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読書感想:転生魔王の大誤算2~有能魔王軍の世界征服最短ルート - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、一巻と二巻で人間側の腐敗と天界の傲慢をこれでもかと書いてきた本作品であるが、今巻はちょっと品を変え、ひとまず小休止と言わんばかりに、魔界の内情に触れつつ魔王としての施政についても語っていく巻である。
が、しかし。そんな平穏が続くと言う訳ではないのは画面の前の読者の皆様も大体お察しであるかもしれない。お察しの通り、ケンゴ―に何だかんだと平穏な時は訪れない。それは魔界であっても。
占領した王都の復興を待つ間、ケンゴ―は暇である。暇と言っても魔王としての仕事はあるけれど、厄介な人間や天使との戦いもない、久しぶりの穏やかな時間。
そんな中、ケンゴ―は部下の魔将の一人であるレヴィ山ことレヴィアタンの腹違いの妹であるシトレンシアの誕生日を祝う祝賀会へと招かれ、魔王として無視するわけにもいかず、出席する事となる。が、しかし。この誘いは次なる戦いへの呼び水となってしまうのだ。
ルシ子やマモ代達に、女性同伴が当たり前であるパーティの随伴者に誰を選ぶのかと問い詰められ、四日連続で行われるから無問題と判明し、落ち着いたはずだった。
だが、パーティ初日の夜、既に既婚者である筈のシトレンシアの夜這いを受けた事から不穏の予感は芽生え、新たな悪意は花開く。
それは、レヴィ山と因縁のある家族であるシトリー、そしてシトレンシアの結婚相手であるアザールの黒き思惑。周囲を無差別に魅了してしまう彼女の力を利用した、領民全てを巻き込む狂気の計画。
それを放っておけるレヴィ山である訳が無い。巻所は大切な妹だから。そして、そんな事情を一人で抱え込むことをケンゴ―は許すか? 否、そんな訳はないだろう。何故なら彼は魔王であり、全てを大切にする優しき王であり。何よりも仲間を大切にする王である。そんな彼が、部下の危機を放っておくわけがあるか。そんな訳は何処にもない。
「余はアザールを許さん・・・・・・! 逆らうというなら戦も辞さん・・・・・・!」
戦うのは嫌だけど、怖いけれど。それでも奴等は大切な部下を傷つけた。逆鱗に触れた。ならば許す道理もない。参戦を決意するケンゴ―にルシ子やマモ代達も同調し。サ藤やベル原も召集され、魔王の元に七大魔将が集う。
「こんな時まで、まったく緊張感のない奴らだ」
たった八人で始める戦争に敗北はあるか。否。まるで魔王の元で家族同士であるかのような気安さで、何も気兼ねなく軽口も叩き合える。そんな「仲間」の絆にどんな敵も勝てる訳が無いのだから。
ケンゴ―の更なる魅力に魔将達が敬服し、絆を深めた彼等の力が更に高まる今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
転生魔王の大誤算3~有能魔王軍の世界征服最短ルート (GA文庫) | あわむら赤光, kakao |本 | 通販 | Amazon