読書感想:転生魔王の大誤算2~有能魔王軍の世界征服最短ルート

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前巻感想はこちら↓

読書感想:転生魔王の大誤算 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、この巻の感想を書いていく前に画面の前の読者の皆様に一つ、問いを投げかけてみんとする。王という者、為政者という人種に取って重要な要素とは何であろうか。臣下の民に差し向ける為の優しさであろうか。否、それだけではないと貴方は思われるだろうか。優しいだけではなく時に厳しく。自らの臣下に害を為そうとする敵を容赦なく叩き潰す苛烈さと冷酷さも時には必要ではないだろうか。

 

部下にどんどん持ち上げられ押し上げられ、最早逃げる事もままならぬ。故に始まる、魔王ケンゴ―による人界侵略作戦。その目標となった、魔族の領土にほど近い国、ベクター

 

「それがなぜ、こんな惨状になっておるのだ!」

 

が、しかし。怠惰の魔将であるベル原に無血で、苦痛を与えず、天寿を全うさせてやれと一見すると無理難題な形、ケンゴ―本人からすれば長期的な作戦を命じてみれば、ベル原の十八番の睡眠魔法による作戦であっさりと王都は陥落し。

 

そんなツッコミから始まる今巻は、占領政策のお話であり、戦争に付き物の占領、そして占領地の統治に関するお話である。

 

一先ず人々を眠りから叩き起こし、大衆の心に訴えかけたり無料の診療所を開いてみたり。前世が小市民であるからこその平和的、最早占領地の人々に媚びるかのような政策を打ち出すケンゴ―。

 

だが、そんな彼の政策を邪魔する者がいた、よりにもよって獅子身中の虫という形で。彼の邪魔として秘密裡に立ち塞がるのは強欲の魔将、マモ代である。

 

強欲であるがゆえに、陛下の全てが欲しい。その地位ですらも。だが博打は趣味じゃない。だから陛下に副作用のある霊薬を飲ませたり、セレモニーを邪魔したり、民衆を扇動したりと様々な手を打ち、迂遠で壮大な策を仕掛けてゆく。

 

しかし、正に策士策に溺れるとはこの事か。マモ代も想定していなかったレベルで、ケンゴ―という希望は民衆にとって魅力的であり。故に彼女の知らぬ間に計画は崩れ、彼女は魔族殺しに特化した天使を相手取り、戦う事となってしまう。

 

「無論、おまえのような忠臣を喪うのは、余の損失だからだ」

 

だがしかし。無論、臣下の危機を黙って見過ごす魔王に非ず。

 

「よくわかった」

 

その胸に宿るは天帝への怒りと天界との決別の思い。臣下を守り、敵を討つ。魔王という立場への自覚の第一歩。

 

前巻が世界観紹介と舞台づくりであるのなら、今巻からが本当の意味での始まり。魔将達それぞれに光を当てつつ、ケンゴ―の成長を描きだすのが今巻である。笑えて燃えられる、そんな面白さが更に高まるのが今巻なのである。

 

前巻を楽しまれた読者様、笑えて心熱くなるファンタジーが好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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