読書感想:転生魔王の大誤算5 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~

 

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読書感想:転生魔王の大誤算4 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、実に一年振りの刊行となる今作品であるが前巻までのストーリーを覚えておいででない読者様は、とりあえず私の過去の感想を当たっていただきたい次第であるとして。魔王であるケンゴ―と、魔将達が立ち向かうのは腐敗した人間の国ばかりか、というのが示されるのが今巻なのである。外患、それは内憂外患と言って内憂とセットであるものだ。では内憂とは何か。それこそは魔王の支配体制に不満を抱く者達。長い歴史が続いた国においては必ずと言っていい程存在する人種である。

 

 

その名も「五大悪魔」。それぞれ虚言、殺生、偸盗、邪淫、呑酒を司る悪魔の名家の当主たち。七大魔将と魔王が支配する魔界の秩序を覆すべく暗躍する者達。その中の一つである「虚言」の悪魔、エイミーが牙を剥く今巻。

 

「だって四姉妹全員、お隣さんとは幼馴染同士ですものね」

 

「虚言」を司る悪魔が仕掛ける策とはいかなるものか。それは無論、虚言、即ち嘘に関わるもの。ライロックという暗愚な国王が支配する国を取るべく動き出したケンゴ―達の隙を突いて罠にかけ。ケンゴ―、ルシ子、アス美、ベル乃、そしてシト音の五人が罠にかかり自分達は一般人であると言う偽りの記憶と常識を植え付けられてしまったのである。

 

残る魔将達は偽りの指示に踊らされる中、期せずして記憶を取り戻し、一般人の平和な生活を謳歌するケンゴ―。だが何故かベル乃も記憶を奪われていなかった、その理由である悲惨的な来歴を聞き。再び彼は魔王となることを決める。それは振り回されたからでも、押し付けられたからでもない。自らの意思で、己の決定で選んだもの。

 

「なるほど―――本当にくだらん!」

 

奪われた理由はとてもくだらないもの。なればもはや容赦する必要もなし。余裕をこいているメスガキ、もといエイミーに分からせるのは魔王の出鱈目さ。奪われていたものへ怒りを向ける、正当なる臆病な名君の力。

 

彼を支えるのは、一人ではなく。リモーネとの関りで名将へと成長しつつあるサ藤が、事態の不穏さを察して駆け付け、更にはベル乃も珍しくやる気を出して、共に全てを叩き伏せんと大暴れする。

 

だが、ここまで書いて来れば画面の前の読者の皆様も何となくお察しであろう。最初に顔見世する敵が、最強である場合はほぼなく。最初の激突、それはあくまで顔見世に過ぎないのである。

 

更に世界観深まる中、新たな敵も出てくる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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