読書感想:サベージファングお嬢様 史上最強の傭兵は史上最凶の暴虐令嬢となって二度目の世界を無双する

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 さて、傭兵という職業がある、この世の中には。では画面の前の読者の皆様は傭兵と言う職業にどんな印象を持たれているであろうか。傭兵と聞いて、どんなキャラクターを連想されるであろうか。

 

 

そんな傭兵と言う職業の人間がこの作品の主人公であり、表紙を飾っている人物である。・・・傭兵に見えない、というツッコミを入れたいという読者の皆様、少しだけ待っていただきたい。どういう事か、きちんと説明するので。

 

突然ではあるが、この作品の最初の光景は魔法と血が舞い散り、炎に彩られた戦場から始まる。とある異世界に存在する国、イルタニア国。この国は今、疲弊しきっていた。王妃となった女、ミレーヌの悪行三昧により国は疲弊し、国民の不満は最高峰に達し。一つの処刑を切っ掛けに国民が蜂起し体制打倒を目的とした革命は、勝利で幕を閉じようとしていた。

 

そんな終幕の景色の中、「野蛮なる牙」と呼ばれ名を馳せた傭兵、エンヴィルは突如侵攻してきた軍事帝国、コルオーンの女帝、コレットの手により死を迎える。

 

 しかし、死後の世界、なんてものは無かった。エンヴィルの意識は次の瞬間、気付いた時には過去、滅びる前のイルタニア国にあった。しかもその姿は自分自身ではなく。何と彼はミレーヌ(表紙)の身体に転生していたのである。

 

一体何が起きているのか、全く以てわかる訳もなく。だがそこで大人しくしているエンヴィルではなく。傭兵時代の言葉遣いを使い始め、まるで男のような態度をとりながら。まずは力を取り戻すべく、筋トレと素振りから始め勘を取り戻そうと努力していく。

 

 そう、この転生は確かに運命の変わる瞬間であったのだ。未来の光景を知り、中身が別物であるからこそ未来は切り替わり。そしてエンヴィルの時には持ち合わせなかった究極の魔力と、ミレーヌでは決して持ち得なかった、すべて使えるものは使うと言う傭兵だからこその戦い方。力と心が一つとなり、エンヴィルの入ったミレーヌは大の男に負けぬ程の力を有す事となる。

 

そんな彼女の中に「漢」を感じた婚約者である王子、アルベールは彼女を信奉する者となり。若き日のコレットは彼女を見初め、その身を欲しがる。

 

そんな三人は、大陸の中央にある貴族の子女が集う魔法学園へと集い。共に学び始め、ミレーヌの強さも相まって、学園へと嵐を巻き起こしていく。

 

 そんな彼女の台頭を許さぬ者がいる。それは前世の末期に流行していたはずの邪教。魔薬と呼ばれる特殊な薬を巡る騒動に巻き込まれる中、ミレーヌの身柄を狙う邪教の刺客は牙を剥く。

 

「興味がないね。てめえらの言うカミサマじゃ、ロクな事にはならなそうだ」

 

勧誘は当然のごとく決裂。なればこそ戦う以外なく。そして、最強の令嬢にそこらの刺客で勝てる訳が無いのも道理である。

 

この作品は、少女に見せかけた武骨な漢が二度目の人生を突っ走る作品である。そして使えるものはすべて使うと言う矜持の元、様々な手で繰り出される攻撃が彩るバトルが目を惹き、心を燃やしてくれる作品なのである。

 

熱いバトルが好きな読者様、転生ファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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