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読書感想:魔王と勇者の戦いの裏で4 ~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻でヴェルナーに申し付けられた代官のお仕事。裏を読めば、中央で取り立てる為にさっさと手柄を立てて帰ってこい、という思惑があり。しかし表を見れば疎んじられて左遷されたようなもの。いきなり波乱万丈な事態に追い込まれた訳であるが、忘れてはいけぬ。そもそも彼、まだ学校を卒業すらしていないと言う事を。しかし既に大人達の舞台に上げられつつある、故に逃げ場はない。という訳で命じられた以上、挑まねばならぬのだ。
「馬より牛に乗ることを好むものもいるようです」
王都に残ったリリーが、国家事業的なものに関わることになったりしているとも知らず、代官として任ぜられた地方、アンハイムへと向かうヴェルナー。元々武闘派貴族のクナープ侯爵領であったが今は治安維持さえ後回しの問題を抱えている地域。街の周辺だけは何とか守ってはいるが、領全体には魔物やら山賊やら集団化した難民が蔓延るという、割とどうしようもない状況。
「馬鹿馬鹿しい。そんなまじまじと顔を見られた記憶はないぞ」
着任早々、まずは山賊を幾つか討伐し、街のギルドの有力者たちの開く歓迎会に出たらハニートラップを仕掛けられかけて。あまりにもあまりな状況に溜息をつきつつ、早速お仕事を開始する。
「お前が断ったら、実際に死刑執行人になるだけだという意味でもある」
まずは違法な人身売買を壊滅させ、次に投獄されていた工作員、ラフェドを使える者は使うと言わんばかりに味方に引き入れ。想定される魔将の侵攻、せめてそれまでに領地でサボタージュが起きないように、と。綱紀粛正に努め、領地を平定していく。
そして予想されていた自体は巻き起こる。襲い来る魔将、獣人型のゲザリウス。対するヴェルナーが弄するのは小細工、という名の戦術。身体能力の違い故に傲慢な敵の考えの裏をかき、確実に殺し、自ら陣頭指揮に立ち、敵を自身を釣り餌として囲い込んでいく。
「一つ返したよ。ヴェルナー」
だが、彼にもまだ予想できぬことがある。追い詰めた筈のゲザリウスが狂えるかの如く圧倒的な力を放ち、あわや戦局崩壊。そこへ駆けつけてくれたのがマゼル達勇者パーティー。これより始まるのは、勇者とその親友の夢の共同戦線。共にの働きで何とか討伐には成功するも。やはり謎と推察は残り。王都ではリリー達に接触しようとする動きが加速し始め、ミーネに縁談が持ち込まれる。
領地平定という修行にして、夢のような戦いが繰り広げられる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。