前巻感想はこちら↓
読書感想:豚のレバーは加熱しろ(3回目) - 読樹庵 (hatenablog.com)
清楚な完璧美少女が俺を豚呼ばわりしてくる、美少女と豚の嬉し恥ずかしラブコメ珍道中、はーじまーるよー。
はい、思いっきり滑っていると自分でも思っているしネタに振り切り過ぎて後悔しているので画面の前の読者の皆様、ブラウザバックだけはご勘弁願いたい。ついでに言っておきたいが私生活が忙しすぎて心がぶっ壊れた訳でもないので安心していただきたい。ではいきなり何故こんなことを言い出したのか、というと今巻のストーリーラインが大体そんな感じなのである。
王朝に反旗を翻していた悪い魔術師を撃破し訪れた、今までで一番の安寧。今までの疲れを癒さんとするかのように、どんな願いもかなえると言う「赤き願い星」を目指し、北へと向かい旅をする、我等が主人公の豚、そしてヒロインであるジェス。
「いいですね、私もやってみたいです! らぶこめ!」
旅路の中、豚のふとした言葉の中からラブコメというものに興味を持ち。魔術を用いてスク水や学生服といったコスプレ姿を披露してくれて。目の保養をしたり、萌えたり。一人のオタクとして狂喜乱舞したりする中、豚とジェスは北へと向かう中で様々な謎、そこに隠された真実に触れていく。
大屋敷に最近現れるという幽霊の噂、そこに隠されていたのは不器用な交流。
温泉に固執する領主がわざと晒している秘湯、そこに隠されていたのは震えるような領主のたくらみ。
何もしないのに林檎が沢山実るという妖精の伝説がある平原、そこにあったのは一人の男のいつまでも続く弔い。
様々な真実に触れ、時に人の心の温かさに笑み、冷たさに震えて。それでも何処までも笑顔で、豚とジェスは旅を続けていく。
・・・ダケド、ナニカワスレテイナイダロウカ? ナゼフタリハタビヲシテイルノカ? ナニカ、タイセツナコトヲワスレテハイナイダロカ?
そう、前巻の最後の展開を覚えておられるだろうか。覚えておられるのであれば、この旅に何処か違和感を持たれたかもしれない。その違和感は気のせいじゃない。何も終わってはいないのだ。そして二人の関係は、一度終わってしまっているのだ。
何故豚は終わらせる事を望んだのか。あんなにジェスに慕われていたのに。彼の心の中に合ったのは尻込み。自分じゃ彼女の隣に並ぶには値しない、だから終わらせようとした。
「生まれなんて知りません! それに私は、豚さんが不釣り合いだなんて思いません!」
けれど、豚を引き留めたジェスは心の内を叫ぶ。
「私と一緒にいたいと、そう思わないんですか・・・・・・!」
悲痛に歪み、涙に汚れた顔で。それでも、と必死に。
その叫びは、ようやく本当の意味で豚の心を打ち。やっと覚悟を決めた豚とジェスの前、最終決戦の時は静かに迫る。
まだ、終われない。ここで本当の意味で最後にする。その戦いの果て、何が待つのか。
シリーズ読者の皆様、短編ミステリー連作が好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
豚のレバーは加熱しろ(4回目) (電撃文庫) | 逆井 卓馬, 遠坂 あさぎ |本 | 通販 | Amazon