読書感想:結婚が前提のラブコメ4

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前巻感想はこちら↓

読書感想:結婚が前提のラブコメ (3) - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻では結婚する事の幸せか、自分を貫く事の幸せ、どちらが大切かという事に触れてきたこのシリーズ。では今巻は、どんな命題に触れるのか。その答えを簡単に言ってしまえば、「変化」だ。婚活というものには期限があり、年を経るごとに難しくなっていく、故にこそ急がなくてはならない。なればこそ、何処まで自分を変えられるのか? 相手の望む自分へ、自分をどれだけ変えられるのか。それもまた、婚活においての一つの大切な事であるのだ。

 

そして、それを語るならば正に相応しいのはまひるであろう。今まで多数の好機を逃してしまった彼女こそ、その命題を語るに相応しいヒロインもいない筈だ。

 

付き合った男を悉くダメンズにしてしまう、甘やかしの聖母であり鬼。彼女の元からホストであった彼は去り、もう何度目かの婚活失敗に落ち込んで自暴自棄になってしまうまひる

 

まひるに【ダメだけどダメじゃない殿方】を紹介するのですわ!」

 

そんな彼女を見かねたカレンの提案により、ダメンズを紹介する事になった結衣達の手により、三人のダメンズが集められる。

 

結衣の友人、パリピ系坊主の玉置。カレンの同僚、ギャンブル好きな阿笠。牡丹の同期、言動残念系漫画家の「男爵」。

 

縁太郎を巡る三人の思いも巡る中、まひるは婚活へと挑んでいく。その裏で、縁太郎も一つの変化への決断を求められていた。それは黒峰の計画するプロジェクトへの参加。確かに参加すればいいこと尽くめ、けれどそれは自分達のやり方の否定に他ならない。

 

この婚活市場で変わると言う事は正しい事なのか。変わるのならば、何のために、誰のために変わるのか。

 

まひるさんと結婚するために、今の自分を変える覚悟はありますか?」

 

彼女の幸せの為、縁太郎は「彼」へと問いかける。幸せのために、変わる覚悟は貴方にはあるのか?、と。

 

まひるさんは、変わるのが怖いわけじゃない。誰かを変えてしまうのが怖いんだ」

 

「どういう変化を望むのか」

 

まひるさんに、幸せになってほしいんだ」

 

 そして縁太郎は、あの日の感謝、「変わらないという変化」を自分にさせてくれたまひるへの思いと共に彼女へ声をかけ、変化を促す。どうか、今、目の前にある幸せに手を伸ばしてほしいと。

 

変わる事は大切な事、だけど変わらぬ事もまた大事。どちらも大事、だからこそどっちを取ったって良い。その決意に、確かな自分だけの思いがこもっているのなら。

 

結衣、カレン、牡丹、そしてまひる。四人の幸せを求める女性のすぐそばに、今、幸せの形が現れて。そして変化の波乱の波はすぐ側に迫っている。

 

さぁ、画面の前の読者の皆様もどうか心を決めて読んでみてほしい。

 

今巻もまた、最高である。

 

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