読書感想:結婚が前提のラブコメ5

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前巻感想はこちら↓

読書感想:結婚が前提のラブコメ4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻のテーマを簡単に言うのであれば「変化」となるのであろうこの作品。では、幸せそうな牡丹の様子が心くすぐるこの五巻は、一体どんなテーマが内包されているのであろうか。私としての見解で言うのなら、今巻のテーマは「選択」となるのだろう。何のために結婚するのか。幸せの為か、それとも自分の為か。だけどそれなら、極論すれば別に結婚、しなくても良くなってしまうのかもしれない。本人にとって、幸せであるのなら。「結婚」という形にこだわる必要はあるのだろうか。

 

 

前書きもそこそこに今巻の感想を書いていく次第であるが、この作品は「結婚が前提のラブコメ」であり、「結婚相談所」が舞台である。では、良縁が纏まったのならばどうなるのか。その答えは単純、「卒業」である。当たり前のことかもしれない。結婚相談所とはいつか巣立つ場所、幸せのための通り道と言えるのだから。

 

では、前巻のまひるに続き今巻は一体、誰が卒業するのだろうか。その答えは、表紙を見ていただければもうお分かりであろう、牡丹である。

 

 まひるが良縁に恵まれた事を見、それを切っ掛けとしてか。結衣とカレン、そして牡丹の三人の縁太郎を巡る関係が加速していく。一歩抜け出し、まるで抜け駆けのように縁太郎をデートに誘い。しかし、牡丹へと縁太郎は告げる。外に好きな人がいる、と。

 

その答えを聞き、再び執筆の世界へと戻る牡丹。そんな彼女へ、縁を繋いでほしいと手を伸ばす影が一つ。その手の主の名は、通称男爵。かつて牡丹と仲が良く、今はライバルとして切磋琢磨するエロ漫画家である。

 

牡丹の事が好きである男爵、対し、どうしても男爵をライバルとしてしか見れぬ牡丹。漫画の世界でも、現実の世界でもすれ違う二人。

 

そんな二人を結び付けるべく、縁太郎は二人で一つの作品を共作する作戦を提案し。同じ作品と言う舞台、交換漫画と言う名の手紙を通じ。二人は向き合い、もう一度あの日の気持ちへ迫っていく。

 

少しずつ、気持ちが変わっていく。彼の事を見る目が変わっていく。だけど、離婚した両親を見てきたからこそ、どうしても尻込みしてしまう。

 

「自分が結婚して、誰かと一緒になって、どうなりたいのか。婚活をしていると、見えてくる瞬間があるんだ。それは絶対に逃しちゃいけねえ。その光景はきっと、お前のことを幸せにしてくれる」

 

その背を押す縁太郎、幸せを掴んでほしいという彼の言葉。まひるという、婚約の先輩の実体験と言う名の共感と言う名の後押し。

 

「結婚せずに―――一緒にいましょうよ」

 

 そして牡丹は選び取る。自分だけの幸せの形を。自分がどうなりたいのか。「わたしとあなた」としてどうなりたいのか、どう生きたいのか、その答えを。

 

「次は、わたくしたちの番ですわ」

 

牡丹は選んだ。なればこそ、カレンと結衣にも、選択の時は、踏み出す時は来ている。

 

そして同時に、縁太郎にも訪れる試練の時。黒峰による悪辣な連合の乗っ取り策が牙を剥こうとしている。

 

果たして、全ての因果が収束するであろう次巻、最終巻で待っているのはどんな結末か。

 

心して待て、震えて待て。

 

きっと最後、彼等だからこその結果が待っているはずだから。

 

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