読書感想:魔王軍最強のオレ、婚活して美少女勇者を嫁に貰う

 

 さて、「婚活」から始まるラブコメというのは、私の敬愛する作者様の作品であられる「がのラブ」こと、「結婚が前提のラブコメ」が有名であるかもしれない。ではこの作品は婚活、というのはどう絡んでくるのか。先に言ってしまえばこの作品において婚活、というのは切っ掛けに過ぎぬ。そこから始まるのは王道のラブコメであり、バトルものなのである。

 

 

作中世界から見ると異界である世界から、魔王とその軍勢がやってきて、世界に現れた「光の勇者」に撃退されるという歴史をそれこそ限りなく繰り返してきた世界で。今代の魔王であるアスティアに最初に支配された街の生まれであり、人間でありながら魔王に見出され四天王トップへと上り詰めた青年、リィド(表紙右)。

 

「だから。飽きないかと。そう言ってるのだ」

 

 だがしかし、ある日アスティアに呼び出され聞かされたのは、魔王にあるまじき彼女の本音。良い意味で魔王らしくない、融和を是とする争いを好まぬ彼女は、長く続く戦いに飽きていた。さっさと楽隠居するために必要なのは光の勇者を無力化する事。覚醒前の勇者を捕らえるべく、「ドレイン」の力を持つリィドは人間の領地に派遣されたのである。

 

「こんなところでお前に会うとはな」

 

更にここで運命は、あっという間に転がり出していく。拠点となる家が家族向けであった為に結婚相談所に行ってみれば、まるで運命的に合致したというかのようにマッチングした相手。それは昔の幼なじみであり初恋の相手であるレナ(表紙左)であり。今は冒険者をやっていると言う彼女に連れ出され目撃したのは、彼女こそが勇者であると言う証拠だった。

 

『―――そのまま結婚しろ』

 

アスティアに指示を仰ぎ、命じられたのはそのまま結婚してしまえと言う指示。リィドの「ドレイン」の力で覚醒を遅らせる事で時間を稼ぐと言う方向性でいく為、そのまま結婚する事となるがその会話をレナに聞かれた事で、リィドの正体がバレてしまい。しかしレナもまた、平和に幸せになりたいと言う思いを抱いているという事が判明し、二人の利害関係は一致する。

 

 では二人の間に愛はないのか、というとそうでもなく。実は二人は共に初恋の感情を未だに持っており、故にこの状況は渡りに船だったのである。

 

2人で共に家事をしたり、夫婦らしいを考えてみたり。更にはリィドのドレインを行うためという名目で密着してみたり。更には噂ともなっている宝石を探すために、四天王の同僚であるクロエの案内の元に冒険を繰り広げたり。

 

無論、それだけではない。魔王の意図を組めず、魔王に叛逆した者達の魔の手が迫る。その暴虐を止めようとして、レナの魔力が暴走してしまう。

 

「・・・・・・なにかなんて、あるわけがない」

 

逃げてと言われて、逃げる事を選ぶのか。否、そんなのは己の魂が許さない。ならば何をすべきか、決まっている。全部助けて生き延びる、それだけ。その心の吼えるままにレナを助け、吸い取った力で生み出した極大の魔術で決着をつけていく。

 

王道ど真ん中、ラブもバトルも全部盛り込まれたこの作品。安定した面白さを楽しみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

魔王軍最強のオレ、婚活して美少女勇者を嫁に貰う 1 可愛い妻と一緒なら世界を手にするのも余裕です (HJ文庫 そ 01-14-01) | 空埜一樹, 伊吹のつ |本 | 通販 | Amazon