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読書感想:本能寺から始める信長との天下統一7 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この作品の世界に於ける日本は信長様の名の元に統一され、前巻で信長様が意気揚々と心のままに世界に飛び出していったわけであるが、画面の前の読者の皆様は歴史の中、この辺りの時代であれば世界的に最も力を持っていたともいえる組織は何であると思われるであろうか。
答えは「キリスト教」。大航海時代の裏には、バチカンとイエズス会の影があり、世界に乗り出していくのならば、どこかでそんな組織とかち合うのは明白である。
だが、果たしてかち合ったとして、そこで穏便に終われると画面の前の読者の皆様は思われるであろうか。戦争も終わり内政と開拓、に振ってばかりではいずれマンネリを迎えると言ってもいい。では一体、どうすれば物語は引き締まるのか。その為には戦うしかない、つまりはそういう訳なのである。
「この日本の地では出来ぬこと、腕を振るってみたいと思わぬか?」
前巻でオーストラリアを開国、占領下におき。日本は既に平定されたのでもうどこも版図を広げる事は出来ず、しかしオーストラリアに広がるのは未開の地。さっそく信長に開拓を命じられた秀吉、前田利家、蒲生氏郷の三人が真琴の元に駆け付け。さっそく現地の人達との交流に励んだり、開墾をしたり。それだけに真琴も集中したいけれども、彼は樺太の面倒も見なくてはならず。樺太にまで足を延ばし、日本の領土として発展しつつある街を視察し。現地嫁、もとい分家の嫁であるトゥルックと彼女との子供であるオリオンと一時の平穏の中で過ごし。家臣である真田幸村を樺太に残し、国外から国内まで幅広く駆け回っていく。
しかし、多忙だが平穏な時は長くは続かなかった。萌えの発展にばかりかまけている余裕も無くなってしまった。バチカンへの使者となった高山右近の裏切りと信雄の処刑。変えてしまった歴史の流れが、最悪の形で予想よりも早く襲い掛かってきたのである。
「このような非道を許さぬ天下を作る。常陸手を貸せ」
家康の暗殺未遂、などという事態は大事の前の小事。もうこうなった以上、止まることは出来ぬ。しかしバチカン、そしてキリシタンを敵に回すと言う事は、世界を敵に回すと言う事。だが、もはや是非もなし。信長は早々に世界の覇者になる覚悟を決め、真琴も政教分離の秩序を作る為に覚悟を決め。ここに世界を敵に回す、世界大戦が幕を開けるのだ。
その大乱の流れを変える鍵は今、真琴の手元に。インカ帝国の最後の後継者、ファナは果たして世界にどんな影響を与えるのか。
遂に世界との激突が始まる、一気に動き出す今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
本能寺から始める信長との天下統一 8 (オーバーラップ文庫) | 常陸之介寛浩, 茨乃 |本 | 通販 | Amazon