さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は人には言えないけれど隠している特技はあられるだろうか。これだけは誰にも負けない、という特技は持っているだろう。
とある高校、そのとあるクラスに一人の少年がいた。彼の名前は仁(表紙右)。
彼は陰キャである。基本的にはいつも一人でいるがそれを苦としていない性格である。しかし、彼は実は不良が友達だったりと意外と人脈が広く、更には実は腕っぷしも強かったりと様々な隠した爪を持っている言わば能ある鷹は爪を隠すを地で行くハイスペックな陰キャだったのである。
そんな彼と席替えで隣になったのはバレー部所属の天真爛漫なクラス屈指のリア充、朝姫(表紙左)。
ひょんな事から知り合い、そして一緒にお弁当を食べたりする事から始まる二人の関係。
その変化していく日常の中、朝姫は仁の誰も知らなかった一面を覗き見、彼の本当の姿へと触れていく。
例えば、妹を心から大事にしていたり。
例えば、自分にも劣らぬ程に人脈が広かったり、更には文武両道だったり。
「何があっても信じろって言っただろ。だから」
「もう大丈夫だ」
そしてそんじょそこらの不良では足元にも及ばぬ程に、喧嘩がめっぽう強くて、まるで王子様か騎士のように颯爽と悪を片付け、自分を守ってくれて。
「・・・・・・これからもよろしくね?」
「ああ、よろしく」
そしてかつて心の傷を抱え、拭いきれぬ過去を抱えた自分の心すらも癒してくれて。
これぞ正に全方向完璧とでも言えばいいかのような行いであり、これこそ正しく古き良き主人公としての素質である。
この作品は一つの仕組まれていた、本人たちの目から見ればひょんな事から訪れた出会いから始まる、変化していく日常が騒がしいドタバタ感の強い日々の物語である。そして同時に、古き良き王道真っ直ぐ、ど真ん中のラブコメなのである。
だからこそ面白く、そして既にとある誰かの手によって張り巡らされた次の問題の芽が次の巻への期待を誘ってくる。
時にヒロインにからかわれ、そして時にヒロインを背に庇い圧倒的な力で守り抜いてみせる。
そんなどこか古典的、だけど言い換えれば王道なラブコメが好きな読者様はおられるだろうか。
そんな読者様は、是非読んでみてほしい。
無論、ラブコメが好きという読者様も読んでみてほしいと思うし、からかってくるヒロインが好きという読者様も読んでみてほしい。
きっと、貴方は満足できるはずである。