読書感想:ベルサイユの獅子 ―絶対記憶者の俺が未来知識で過去と義妹の運命を変えるIF戦記―

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ナポレオン。それはフランスを駆け抜けた英雄の名である。画面の前の読者の皆様の中でFGOをプレイされている読者様であればそちらの印象の方が強いかもしれない。ではこの作品におけるナポレオンとは何者か。それは既に表紙に答えが存在している。

 

日本の現代に、瞬間記憶能力を持ちながらも平凡を装い、平凡に死んでいった一人の男がいた。死後、彼の魂は意外な所へと転生を果たす。

 

その世界とは、歴史そのままのようでありながらも何処か違う、まるで並行世界かと言わんばかりの18世紀欧州。そして彼、シモン(表紙右)を拾った育ての親の元に生まれ、彼の義妹となった少女こそ、この世界における未来のナポレオン、レオナ(表紙左)である。

 

この世界では女の未来のナポレオンは幼き頃、一人の少女と出会い友誼を結び、共に英雄になろうと約束を交わす。

 

嗚呼、だが運命とは何処まで残酷なものなのであろうか。彼女の竹馬の友となった少女、ネルこそ未来の英雄、ネルソン。ナポレオンの宿敵でありナポレオン破滅の原因となったイギリスの英雄である。

 

英雄となるならば、軍人となるならば。いずれ激突し殺し合う運命。

 

「私は私、レオナ・ボナパルトのままナポレオンを超える英雄になって、ネルともう一度会う。そして、もし彼女が死ぬ運命にあるなら私が助け出してみせるわ!」

 

しかし。否、と。レオナは決意を口にする。決められた歴史の運命がなんだ。そんなもの覆して見せる、と。

 

その決意と約束を果たす為、英雄となる為。ナポレオンのように学校へと入学し飛び級により圧倒的な速さで軍に入隊するシモンとレオナ。

 

そんな二人の周りに集うのは、違う歴史が齎したまだ見ぬ英傑達との出会い。

 

攻勢を得意とする姉御肌の将軍、ランヌ。守勢を得意とする幼年学校からの友、ダヴー。シモンにより見出された技術開発局の職人、リゼット。

 

そして彼女達と共に挑んでいくのは未知なる世界で、未知なる歴史を創り出す為の戦い。兵士と銃と大砲、そして魔法が交錯する未知なる戦場なのだ。

 

そう、この世界においては魔法が存在する。銃も大砲の優位も覆す、圧倒的な魔法の力が存在している。

 

レオナ達とぶつかり合う事となるロシアの不敗神話を持つ将軍、スヴォ―ロフ。不死なる軍勢を率いる魔術を使いこなす恐るべき敵。

 

そんな敵との戦いの中、頼りになるのは仲間達の働き。全軍を率い纏めるレオナのカリスマ。

 

「―――そこは丸見えだ」

 

そして、マスケット銃の次の銃、ミニエー銃を駆り狙い撃つ、シモンの狙撃。

 

言うなれば正に心熱くなる戦記であり、大軍と大軍がぶつかり合う圧倒的な戦場が描かれるこの作品。

 

戦記ものが好きな読者様、大軍同士の激突が好きな読者様は是非。きっと満足できるはずである。

 

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