読書感想:デッド・エンド・リローデッド 2-不倶戴天のトゥーム・レイダー-

 

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様。人型ロボット同士がドンパチ火花を散らし、人と人が銃火を交わし合う戦場として相応しいのは何もない荒野であるか、入り組み煩雑とした都市であるか、どちらが良いと思われるだろうか。無論、何もないからこそ小細工なしの荒野の方が好きという読者様も間違っていないと思う。しかし都市には都市の面白さがあるのも確かであると私は思う。

 

前巻(前巻感想→https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/03/03/235643)において骨太ロボットガンアクションとタイムリープを組み合わせたゴリッゴリに硬派な路線を叩きつけてきたこの作品は、今度は何を叩きつけてくれるのか。

 

 

その答えは、スパイアクションも戦争映画もかくやと言わんばかりにスリルと危険溢れる硬派なアクションであり、不俱戴天の怪物が如き新たな格上の敵、「葬儀社」の裏切り者であり夕陽の義妹の仇、「墓荒」との因縁の続きの死闘である。

 

かの機体、未来において戦争の火種となる筈だった機体、「旭」。かの機体の頭部が海中より引き上げられ、向かう先。夕陽と契那、そして社長秘書である美麻が乗り込んだ先の都市、その名はザイコン。

 

東南アジアの片隅のその街こそ、新旧のマフィアとギャングが覇権を賭けて争い合う抗争に覆われた暗黒都市であり、爆発寸前の火薬庫の中で待っているのは懐かしき旧友達との再会と仇敵との激突である。

 

夕陽や契那達、そして旧友であるジョーとドゥウェインを加えた皇和重工組。墓荒とテロリストカップル、イリヤジーナを加えた襲撃者組。そこに横やりを入れてくるのはCIA。

 

「旭」の頭部を巡り相争う三つの陣営。その争いの最中、復讐に囚われ余裕をなくしていく夕陽を支える契那の愛情。

 

ある時は敢えてお風呂場に乱入し抱き着いてみたり、またある時は彼に手料理を振る舞ったり。

 

『はい。本当にお疲れさまでした、夕陽さん。気をつけて帰ってきてください』

 

そして待っていてくれる。自分の生存を願ってくれる人がいるからこそ生きる力が湧いてくる。

 

世界を大きく広げ、タイムリープから脱却してもこの作品の強さは消えていない。

 

そう訴え、叩き込んでくると共に各々の「信念」について描き、信念同士のぶつかり合いを熱く描くのが今巻である。

 

前巻を読まれた読者様、やっぱり硬派なアクションが好きだという読者様、ロボット同士の激突が好きだという読者様は是非読んでみてほしい。

 

きっと、満足できるはずである。

 

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