読書感想:ラブコメ・イン・ザ・ダーク2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ラブコメ・イン・ザ・ダーク - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様はこの作品が「ラブコメ」であり「暗黒」であるという事はご理解頂けているであろう。しかしこの作品はあくまで「イン・ザ・ダーク」であり「ダークラブコメ」ではない。だがその実、肝心の暗闇の部分は前巻にも増してとんでもないもの、二巻にしてアクセルの上限がぶっ飛んでくるのが今巻なのである。

 

 

「またしても心外だ」

 

前巻、確かに変わったトオルとの関係。改めて向き合う事でぐっと距離も縮まり、ユミリとジローを巡って争う事も増え始め。ユミリより言い渡されたミッション、そしてすぐにログから消えてしまった謎のメッセージを心の隅に残しながらも。ジローはちょっとだけ変わった日々を過ごしていた。

 

「ここにいる四人は、今日から仲間です」

 

 そんな中、ターゲットの一人である「絶対零度の女王」と呼ばれる委員長、アオイから呼び出しがかかり。出向いてみれば残るターゲットであるヨリコとミウまでいて。容赦なくアオイはプチ少年院と宣う補習講座へ彼等を巻き込む。だが、問題児たちがそう簡単に制御できるわけもなく。基本的に真面目に来るのはジローだけであったのである。

 

期せずして訪れた二人きり、正に攻略の絶好のチャンス。更にアオイから何故かデートの誘いが舞い込み。しかしデートと言っても図書館で、ムードもへったくれもなく。しかし何故かアオイはホテルに向かう、という名目で彼女の実家へとジローを誘い込む。

 

 学校から遠く離れた彼女の自宅、そこで目撃したのはとっくの昔に崩壊していた生活の残滓と、彼女の心の中、誰にも言えなかった過去の闇。それは正に暗闇の中。ラブコメヒロインに背負わせるにしては業が深すぎるレベルの、重すぎる闇である。

 

間一髪駆け付けたユミリは、アオイのジローという病が発病したと告げ。彼を戦力とするために詰め込むように、ぶちのめす形で彼に稽古をつけ。共に「あわいの世界」へと乗り込み、ジローに肝心なところを押し付けて自分はバックアップに回る。

 

「君はまだ本気を出していない」

 

何とも複雑な性癖を持つアオイに何度もぶちのめされ、だが彼女とジローを抑えるのに必死なユミリは、ジローの中の手加減を指摘し。その言葉に何かが目覚める様に。只のねじくれた陰キャに見えるジローに隠された力が、彼の記憶に残らぬままに解放される。

 

「そもそも君は、いったい何者なんだい?」

 

 それはユミリすら予想しなかった結末。絶対に出来ないと思っていた未来。それを為した「ジロー」とはいったい何者なのか? ラブコメが走り出す中、彼の秘密もまた駆け出していく。

 

だが結末は変わらない。ジローがユミリを殺すまでのこのラブコメ、果たしてどうなるのか。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。