読書感想:恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした。

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は離島と聞くと何処をイメージされるだろうか。離島と聞くと、どんな場所をイメージされるだろうか。

 

この作品の舞台は、つい先日ゲームの制限条例を制定し非難轟轟となっている香川県。しかし香川県と言っても只の香川ではない。瀬戸内海に浮かぶ、小さな離島である。

 

 

そう、離島である。本土ではないここには何もない。

 

デパートもなければゲームセンターもない。あるのはせいぜい喫茶店くらい。

 

そしてこの島は小さくて閉ざされているからこそ、どんな話もすぐに伝わる。この島の子供達の主な話題は主に一つ。興味もない者にとってはどうでもいいコイバナである。

 

そんな何処か浮ついた空気に辟易している、かつてこの離島で過ごし今になって帰ってきた少年、凛太郎(表紙左)。そこで彼は、とあるアクシデントから助けてもらう代わりに新しく出来た女友達、姫乃(表紙中央)から持ちかけられる。秘密で偽装の恋人になってみないかと。

 

恋愛する気のない姫乃。だけど何処か無防備だったり距離の近いスキンシップに振り回される凛太郎。しかし、二人の前に立ち塞がる問題が現れる。それは彼等の学び舎、高校の廃校問題である。

 

廃校を防ぐために今、自分達に出来る事は何か。考えた彼等は導き出した答え、学園祭の開催へと向かい一致団結して動き出す。

 

その途中、姫乃の後輩で都会に憧れる少女のありなに絡まれたり。

 

彼女とちょっとした確執の出来てしまった同級生、有希に巻き込まれ少ないお小遣いを駆使して本土まで行ったり。

 

そう、この舞台は離島という何処か閉塞的であり、だけどどこか懐かしい風が吹いている、まるで故郷のような田舎である。そこでそれぞれの出来る事を必死にこなしている凛太郎や姫乃は、全く以て等身大の子供達なのである。

 

そんな彼等は下らない話題で盛り上がったり。娯楽の少ない離島に呆れたり。ぶつかり合ったり戸惑ったり、そして同じ目的の為に頑張ったり。

 

「どうかなぁ? 作り話が現実になっちゃうってことも、あると思うよ」

 

「―――恋愛する気なんて、なくてもね」

 

そして、交差する面影に揺れたりしながら不意に心の距離が近づいたり。

 

これこそ正に、ここにしかない青春。この舞台だからこそ描ける青春。真っ直ぐに名もない感情が交わされ合う、友達以上恋人未満な二人の、一緒にいるからこそ成り立つ恋愛未満なラブコメである。

 

だからこそ面白い、ため息が出る程に。だからこそ尊い、正に言葉も出ない程に。

 

だから今こそ私はこの作品に太鼓判を押したい。この作品は今の時代に存在するべき作品であり、最後まで続くべき作品だと。

 

どうか画面の前の読者の皆様も恐れず読んでみてほしい。きっと貴方はこのラブコメで満足できるはずである。

 

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