読書感想:ネトゲの嫁が人気アイドルだった3 ~クール系の彼女は現実でも嫁のつもりでいる~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ネトゲの嫁が人気アイドルだった2 ~クール系の彼女は現実でも嫁のつもりでいる~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で主人公である和斗の心の闇は垣間見え、そこを凛香が受け止め支えるという、ラブコメとして確かな深まりを見せたこの作品であるが、果たして和斗は夫として何ができるのだろうか。支えられるだけでいいのだろうか。夫婦と言う物は一方的に寄りかかるものではなく、互いに支え合うものなのである。即ち和斗もまた、成長する必要がある。その成長に焦点を当てていくのが今巻である。

 

 

前巻の騒動を経て夏休み。家にいても誰もいない、そんな状況から必然的に凛香の家で過ごす事になり。将来の義妹、かもしれぬ乃々愛に布団にもぐり込まれたり、そんな妹に嫉妬された凛香に借りている部屋の押し入れに潜まれたり。愛の重い嫁に悩まされたりしながらも、賑やかで幸せな日常を過ごす彼。

 

だが、新たな不穏はすぐ側から急にやってきた。忌むべき相手である父親からの急な連絡に、後ろ髪を引かれながらも凛香の家を後にし、一旦家に戻り。しかしそこに父親はおらず、何故か着る毛布だけを着た、彼にとっては義妹となる少女だけが待っていたのだ。

 

放り出して凛香の家に戻るわけにもいかず、「リス」と名のる彼女との同居生活が始まり。ネトゲを通じ自然な交流をしながら少しずつ絆を深めていく和斗。

 

 が、しかし。しびれを切らした凛香の訪問で衝撃の真実が明らかとなる。彼女の本当の名は「梨鈴」。何と彼女は凛香と同じグループに所属するアイドルだったのである。

 

ネトゲは、所詮ゲーム」

 

凛香の事を尊敬するからこそ、彼女の考え方は理解できず。反発する梨鈴に憤り、夫婦としてのあり方を見せつけようとする凛香。そんな彼等の交流の舞台は、やはりネトゲ。乃々愛も交え、ゲーム内でギルドを設立し。ドタバタな、肝心なところで纏まらぬ結束と大騒動を繰り広げながら。リアルとネトゲ、二つの世界で少しずつ絆を深めていく彼等。

 

 そんな中、和斗は梨鈴の言葉から、凛香がアイドルとして抱えるものに触れていく。彼の前では何でもないような顔をして、その心の中に抱え込んでいた人の悪意に傷ついていた心を見つめ、彼女の知らぬ一面を目にしていく。

 

「今のままじゃ、ダメだな」

 

痛感する、意識の差。自分は一体何ができるのか。「夫」として、支える者としてどう行動すべきか。和斗の中、確かに湧き上がる意識。それはきっと、これからの変化の布石。

 

更に面白さ高まる中、和斗の成長の予感が光る今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ネトゲの嫁が人気アイドルだった 3 ~クール系の彼女は現実でも嫁のつもりでいる~ (オーバーラップ文庫) | あボーン, 館田ダン |本 | 通販 | Amazon