読書感想:妹のほうがお姉ちゃんより可愛いですよ、先輩?

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は一途な方であろうか、恋と言うものに。只一人だけ、見つめ続ける自信はあられるだろうか。

 

品行方正、文武両道、性格ヨシ。三拍子そろった天使と呼ばれる少女、彩陽。そんな彼女に憧れ恋をし、成績だけは何とか上回り告白しようとする主人公、理玖。

 

しかし、理玖の告白は無惨にも失敗してしまった。無論フラれた、訳ではない。邪魔されたからだ。そしてその邪魔をした者こそ、彩陽の妹で理玖の後輩である亜月(表紙)である。

 

この亜月というヒロイン、彩陽とは比べるまでもなく、表紙からも分かる通り正反対である。校則なんてどこ吹く風と無視し、心のままに突き進み、理玖に姉に告白するのはまだ早い、だから私が鍛えてあげようと絡んでくる。

 

しかし、その絡みは直球的であり肉体的であり、何処までもなれなれしく迫ってくる。まるで鍛えてあげるなんて事は建前だと言わんばかりに。

 

しかし、その根底にあったのは完璧な姉へのコンプレックス。そして確かに真っ直ぐな恋心であったのだ。

 

物心ついた頃から比べられ、比較対象にもならないと言われ。それでも追いつこうとしたけれど、その背中は何処までも遠くて。

 

そんな中、姉として出会ってしまった、自分と同じように姉への思いを抱いていた理玖に。

 

だけど彼は、成し遂げてしまった。自分では決してできなかった事を。追いつけないと思っていた背中に必死に手を伸ばし、追いつき並んでしまった。

 

その頃にはもう好きになってしまっていた。だけど、彼の目線は姉へと向いていた。

 

「亜月を好きだったのは、あの日だけだ」

 

姉は何でも持っている、だから貴方の心だけは手に入れたい。そう理玖に告げれど、彼は無惨にも、まるで完膚なきまでに殲滅するかのように。亜月の心をかき乱し、その恋心へとトドメを刺す。

 

「だから、俺には亜月が必要なんだと思う」

 

だが、それでもかかってこいと。あの日立ち向かえと言った亜月へと理玖は告げる。再び挑むにはお前が必要だと。狙うは彩陽だけ、この心が欲しければ奪い取って見せろと。

 

告白した者としかけた者。貴方が欲しいと迫る者と拒む者。

 

この三角関係は、何処か歪で歪んでいるのかもしれない。

 

だけど、彼等の心の中にあるのは真っ直ぐでピュアな恋の感情。隠し切れない直球の想いがぶつかり合う、迸るからこそこのラブコメは面白いのである。

 

只のラブコメではないラブコメを読んでみたい読者様、好きと言う気持ちが迸るラブコメを読んでみたい読者様には是非読んでみてもらいたい。きっと満足できるはずである。

 

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