エロ、そして快感。それは思春期男子にとって劇薬ともなり得る世の男全員にとっての万能薬(の筈)。ではもし、快感を賭け金にした願いを賭けたバトルが行われるとしたら、画面の前の読者の皆様はどうされるだろうか。
さて、この作品は題名の通り、快感を感じてしまったほうが負けというただ一つのルールを元に、アイテムを奪い合い相手を快感の渦の中に叩き込むという聞くだけだと阿保ではないかとツッコミたくなるようなバトルが繰り広げられる作品である。
しかし、この作品に登場するこのバトルに参加する子供達は決して不真面目などではない。何故なら、誰しもが負けられぬ理由と悔恨をその心に秘めているからである。
そもそも作品の主人公である魁人からして唐突な通り魔的自動車事故で恋人を失ってしまった過去を持つ。しかもその事故描写がまぁ生々しくてエグい。実際に体験したのだろうかと思うほどに、いっそ吐き気を催す程にエグい。そして恋人を取り戻すために魔術へと傾倒し妄執に囚われつつあるほどに、その闇への落ちっぷりが半端ではないのである。
しかし、そんな彼もこのバトルの参加者の一人であり、彼は主人公の一人であるという事である。
ある少年は、妹を取り戻したいという悔恨を。
ある少女は、殺してしまった親戚を取り戻すという願いを。
それぞれに闇を抱え、故にこそ微かな希望だとしても縋りつくかのように。
だからこそ、触手で辱める、快感で絶頂させる。そんな肌色塗れのお色気バトルの中にもどこか必死さと本気度が伝わってくるのではないか。
この作品は確かにエロである。だが同時に、子供達の譲れぬ願いと本気がぶつかり合う熱さがあるのも確かである。
「・・・・・・やだ」
そして、この作品は奪われ続けて更に奪われ何もかもを無くした少年が、原初の欲求を取り戻しまた立ち上がるまでを描いた、馬鹿馬鹿しくも生の叫びが何故か心を打ってくる、タイトルだけでは面白さが図れない、是非とも躊躇わず読んでみてほしい作品である。
どうか性的な単語に戸惑わず読んでみてほしい。きっと満足できるはずである。男なら。