読書感想:犬と勇者は飾らない 1

f:id:yuukimasiro:20200324231615j:plain

 

突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は異世界転生または異世界召喚に憧れるだろうか。もし憧れている読者様がいれば一つ聞きたい、貴方のその憧れは果たして叶っていいと本当に思われるだろうか。

 

この作品の主人公である草介(表紙中央)は異世界帰りの勇者である。異世界に召喚され、魔王を倒して帰ってきた英雄である。

 

しかし、そんな輝かしき経歴は地球では何も役に立ちはしない。

 

中一の夏に召喚されたから中学は結果的に卒業していない。だから最終学歴は小卒。高卒ですらない。そして異世界で得た力は、この地球で振るうには大きすぎる。だからこそ振るえない、戦えない。

 

「不様だろ。これ勇者だったんだぜ」

 

これ程までに重い独白も中々にないのではないだろうか。現実世界では殺してはいけない、だからこそ無力な一般人として生きる。

 

そんな彼の前に唐突に開けたのは、異世界にも負けず劣らずの非日常だった。

 

地球にはいない筈だった、魔術師と魔物。巻き込まれ自分の身を守る為力を振るい、魔術師達へ協力する事となり再び飛び込む非日常。

 

その中で向き合うあの日の記憶と因縁。今新たに広がる新たな関係。

 

「おかえりなさい」

 

「・・・・・・ああ、ただいま」

 

そう、この作品は異世界を舞台にした作品ではない。異世界を完膚なきまでに否定し殴り飛ばし、現実世界で非日常に巻き込まれて無双して。

 

その中で上記の言葉に集約されるように、あの日に忘れて取りこぼしてきたものを取り戻していく、泥臭くて熱い、正に傷だらけのヒーローといった活躍が光る、真っ直ぐに心を燃やしてくれる熱さみなぎる作品なのである。

 

王道のバトルものが好きな読者様、泥臭く傷だらけになっても戦うヒーローの物語が好きな読者様は是非。きっとお楽しみいただける筈である。

 

https://www.amazon.co.jp/dp/4865546103/?tag=a8-affi-287285-22&a8=e.pP1.C9djzlCvAaAEQA.pz-zqSOcqfaFEQiCvQvziI9djpzkqp9VqpuVqoU0UfQViyqaMpuV.pPws00000009884001