突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は異世界転生または異世界召喚に憧れるだろうか。もし憧れている読者様がいれば一つ聞きたい、貴方のその憧れは果たして叶っていいと本当に思われるだろうか。
この作品の主人公である草介(表紙中央)は異世界帰りの勇者である。異世界に召喚され、魔王を倒して帰ってきた英雄である。
しかし、そんな輝かしき経歴は地球では何も役に立ちはしない。
中一の夏に召喚されたから中学は結果的に卒業していない。だから最終学歴は小卒。高卒ですらない。そして異世界で得た力は、この地球で振るうには大きすぎる。だからこそ振るえない、戦えない。
「不様だろ。これ勇者だったんだぜ」
これ程までに重い独白も中々にないのではないだろうか。現実世界では殺してはいけない、だからこそ無力な一般人として生きる。
そんな彼の前に唐突に開けたのは、異世界にも負けず劣らずの非日常だった。
地球にはいない筈だった、魔術師と魔物。巻き込まれ自分の身を守る為力を振るい、魔術師達へ協力する事となり再び飛び込む非日常。
その中で向き合うあの日の記憶と因縁。今新たに広がる新たな関係。
「おかえりなさい」
「・・・・・・ああ、ただいま」
そう、この作品は異世界を舞台にした作品ではない。異世界を完膚なきまでに否定し殴り飛ばし、現実世界で非日常に巻き込まれて無双して。
その中で上記の言葉に集約されるように、あの日に忘れて取りこぼしてきたものを取り戻していく、泥臭くて熱い、正に傷だらけのヒーローといった活躍が光る、真っ直ぐに心を燃やしてくれる熱さみなぎる作品なのである。
王道のバトルものが好きな読者様、泥臭く傷だらけになっても戦うヒーローの物語が好きな読者様は是非。きっとお楽しみいただける筈である。