読書感想:俺は星間国家の悪徳領主!1

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は基本的に善人であろうか悪人であろうか。もし善人だとするならば、貴方は悪人になってみたいだろうか。

 

とある地球に一人の男がいた。只の善人、それだけが特徴の平凡な男は自らの妻にも上司にも裏切られ、それすらも気づかず哀れに踊り続けていた。そんな彼は、案内人と名乗る謎の男により導かれ、SFとファンタジーが融合した世界へと転生させられ、星間国家の片隅の星を支配する貴族の子、リアム(表紙中央)として生を受けた。

 

前世は善人だったからこそ損をした、だからこそ今回の生では悪徳領主として生きようと決意するリアム。しかし哀しいかな何の因果か、五歳にして継がされた領地はもう搾り取れない程に枯れ果てた領地だったのである。

 

そもそも騎士もいなければ、自前の艦隊は稼働率二割。更に領地は内々尽くし。そんな領地じゃ何も出来ぬ。だからこそまずは豊かにしようと、アンドロイドのメイド、天城(表紙右)と共に改革を断行するリアム。

 

しかし哀しいかな。幾ら悪を志しても惡になり切れぬ程に、彼は前世も今も善人だったのだ。更にはいきなり領主と言われても、と言わんばかりに前世からの小市民性が足を引っ張ってくるのである。

 

だが、だからこそその改革は革命的でありながらも、民の願いに沿った良心的な改革となる。

 

案内人の嫌がらせで、剣客とは程遠い詐欺師が師匠としてやってきてしまったかと思えば、僅かな時間で剣技を自らのものとしてみせ。

 

旧式機の魔改造機な専用機、アヴィド(表紙右端)を宛がわれたかと思ったら、僅かな時間で機体を己の手足のように動かして見せ。

 

成長性と素養抜群、更には根っからの善人。これで名君にならぬと言われる方が無理である。

 

そんな彼は、必死で悪として振る舞い悪逆を見せつける為に、宇宙の海を股にかける戦闘ともなれば全軍突撃、更には最前線で一人の騎士として無双の限りを尽くす。

 

「さて、次の獲物はど~こかな!」

 

その目を爛々と光らせながら、戦闘を楽しみながら。立ち塞がる敵を嬉々として蹂躙していく。

 

そんな彼の姿は、領民誰にとっても眩しいもので。だからこそ、亡国の姫騎士、ティア(表紙左)を始めとした頼れる仲間達がその周りへと集う。

 

 

 この作品はスペースオペラである。SFである。そして小市民的な領主が勘違いと誤解を積み重ねながら、類まれなき名君として成り上がっていく作品である。

 

その裏、思惑が悉く外れきりきり舞いし困らされる案内人の苦悶に笑うと面白い作品である。

 

心熱くなる作品、勘違いとすれ違いで笑いたい読者様は是非。きっと満足できるはずである。

 

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