読書感想:負けヒロインが多すぎる!6

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:負けヒロインが多すぎる!5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 

 さて、この作品、何と来年にアニメ化が決まったらしい。何とめでたい事であろうか。私もこの作品は好きなので嬉しい限りである。しかしふと思うが、この作品アニメ化するとしてどこまでアニメ化されるのだろうか。とりあえず一クールと仮定してもとりあえず負けヒロイン三人が正式に失恋するところを描いていくと割と尺を取る気がするのだが。

 

 

それはともかく、近年では割と珍しい、じっくりと、スローなペースで進んでいるこの作品。前巻ではバレンタインを描いた訳であるが今巻では何を描いていくのか。今巻で描かれるのは新学期に至るまで。先輩の卒業までを描いていくのだ。

 

新学期、そして卒業式。別れと出会いの季節が迫る中、古都先輩の大学も何とか決まる中。檸檬が和彦に言ってきたのは、意外な提案。

 

「―――じゃあ、ぬっくん。あたしとデートしようか」

 

突然のお誘いはどう考えてもデートのお誘い。首を傾げながらもデートに臨み。杏菜や知花の尾行を受けたりしながら、水族館で初めてのデートに挑み。何らかのミッションに挑んでいる檸檬に首を傾げながらも、デートを楽しいものと認識して。その最中、檸檬は唐突にぶっ飛んだ提案をしてくる。

 

「ねえ、ぬっくん。あたしと帰宅部に入らない?」

 

それは陸上部も文芸部も辞めて、二人で帰宅部に入らないか、という事。陸上に全力を捧げていた檸檬が何故そんなことを言い出すのか。疑問に思うも、決断を迫られ。結果として檸檬と退部を賭けて百メートルで勝負する事となる。

 

無論、陸上部でエースの檸檬と初心者の和彦がそのまま対決したとしても、勝負になるわけがない。だからこそまずは特訓を。陸上部にトレーニングの協力をいらしてしまうと檸檬が対立する事になってしまうのでそれは出来ず。天愛星の人脈で生徒会長であるひばりに指導してもらう事となって。まずは身体づくりから始め、最後の数日で一気に走りを鍛える事となる。

 

特訓の日々の中、聞こえてくるのは檸檬の事情。なまじ才能があるが故に、他の選手の才能を摘み取ってしまった、という持ちうるものの事情。何故か杏菜や知花が檸檬の応援に回って、敵になったりするドタバタもある中。ついに来た対決の当日、全力の先に掴み取るのは檸檬の新たな決意。

 

「だからぬっくんも、あたしから目を離すなって、ね」

 

もう我が儘を我慢しない、何もかも全力でそれこそ頂点を取るくらいに。その根底、垣間見えてくるのは、そこにある思いの名前とは。

 

新しい季節を前、檸檬の変化で何かが動き出す気がする今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 負けヒロインが多すぎる! (6) (ガガガ文庫 ガあ 16-6) : 雨森 たきび, いみぎむる: 本