読書感想:性別不詳VTuberたちがオフ会したら俺以外全員女子だった

 

 さて、性別不詳なキャラクターと聞いて秀吉、というキャラクターの名前が思い浮かんだ私は多分、古のオタクである。秀吉と言ってもyoutubeで見られる甘えん坊なもふもふでぽてぽてなあの子ではないが。それはともかく。例えばネット上、画面越し。顔も名前も知らぬ状態であるのなら、相手の事は性別不詳となるかもしれない。画面の前の読者の皆様は、例えば私の性別を知らぬかもしれない。まぁ私は普通に男性なのであるが。

 

 

とまぁ若干アホな前置きはさておき。性別不詳、というと一部vtuberな方たちも性別不詳と言えるのではないか。それもまぁ仕方ないかもしれぬ。なんせ私達が接するのは電子の身体であるので、実際に接するのは声だけだからである。

 

 

性別不詳組、それはとある四人のvtuberを差した言葉。しかし別に四人はグループを組んでいる訳でもなく、ファンに単に纏めて呼ばれるようになったから、気が付けばコラボするようになっていたというだけ。甘露ケイ、アマネ・エーデライト、三宅猫ミィ、藤枝トモの四人。

 

「脱いでもらえれば、もっとわかりやすいけど」

 

 そんな四人が決行した、初めてのオフ会。しかしそこで衝撃の事実が判明する。それはケイの中身である恵は男の子、しかし残りは全員女の子。しかもアマネの中身はちんまい女子大生の茉莉(表紙左)、ミィの中身である女子中学生、令(表紙右)、そしてトモの中身である女子高生、留依(表紙中央)。全員それぞれタイプの違う美少女であった、というおまけつきだったのだ。

 

更には留依は、配信で散々下ネタをぶつけ合った悪友同士、しかし中の人はご覧の通り美少女。ギャップに戸惑うものの、留依のメンタルはそれこそ大嵐。今まで女子校で生活してきて男に苦手意識を持つも、彼だけは大丈夫。そして彼と実際に会った事でより首ったけになり。時に変態的な詰め寄り方をされたり、恵と周りの女子達との関係を邪推して大暴走してしまいそうになったりする。

 

そんな彼女に振り回されたりしつつ、時に茉莉のお悩みである創作のお手伝いをしたり。令の属する部活である演劇部のオーディションに出ることになったり。あまりにもあまりな中世的な外見により、着々と誤解を積み上げて行ったりする中で。留依の事を心配する親友が中の人な大手vtuberのイベントに参加する事になる中。二人の関係を疑われ、留依が段々心迷走していく結果となる。

 

「俺は、この時間を一人の大事な人のために使わせてもらいます」

 

その心を救いあげる為、思いを伝える為。イベントの中で必死に躍動し。伝える為に心を、声を張り上げる。けれどそれは最後はうまく締まらなくて。PONな事態で大騒動、しかしまぁ結果オーライな事態に落ち着くのだ。

 

 

まぁまぁカオス、ドタバタな面白さの中に真っ直ぐなラブコメがあるこの作品。笑えて萌えたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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