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読書感想:負けヒロインが多すぎる!7 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、現在アニメ絶賛放映中、原作においても二年生編が始まり、リコという後輩に和彦達が早速振り回されていた訳であるが。原作は一年間の中で起きてきた様々なイベントを切り取った形で語られている訳であるが、この特典SSやフェアSS、のんほいコラボSSを集めたこの巻では何が語られるのかというと。 特別なイベントの起きない、ごく普通の日常を集めたお話なのだ。
「・・・・・・温水君はフォローして?」
「私とは12年間、なにもなかったのに!?」
杏菜がいつも通り食欲に負けて、勝手にお菓子を食べてしまったり。かつて恋した相手のSNSを見てアンニュイな気分になって、和彦に慰められる事となったり。
「わ、私もだ」
檸檬の朝ランニングに巻き込まれた知花に何故か和彦も巻き込まれ、文化部系には到底想像も出来ないしついていけないペースで走る檸檬に振り回されたり。
「じゃあ、ぬっくんも一緒にお参り行こうよ。どうせ暇でしょ?」
豊川稲荷近くの本屋に和彦が立ち寄ったら何故か檸檬と遭遇し、一緒に豊川稲荷へ行くことになってしまったり。
「―――お兄様もこんなふうに縛れればいいのにね」
佳樹が友人との盆栽の手入れ中、あくまで冗談と言いながらもとんでもなく重い感情を漏れだたせてみたり。
「・・・・・・あの子たち、そろそろ見つけたかな」
エイプリルフール、古都の残した置き土産を探したらそれが先輩の最期の悪戯だったり。
何も無い、何も起きぬ日々。だけどそれは穏やかという意味。そんな日々の中で掘り下げられていくのはそれぞれの魅力。知花が意外と色々気にするところを見せていたり、檸檬が意外と乙女っぽい所を見せたり。杏菜はいつも通り食い意地が張っていたり。
いずれも大切で眩しい日々。そんな日々の欠片を纏めている。だからこそ、我々ファンにとっては一周回って眩しい、のかもしれない。 本編では見つめる余裕のない所を見つめるからこそ、改めて触れていく面白さもあるのかもしれない。
ごく普通、当たり前の日々を描いていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: 負けヒロインが多すぎる! SSS (ガガガ文庫 ガあ 16-8) : 雨森 たきび, いみぎむる: 本