読書感想:悪役御曹司の勘違い聖者生活2 ~二度目の人生はやりたい放題したいだけなのに~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:悪役御曹司の勘違い聖者生活 ~二度目の人生はやりたい放題したいだけなのに~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で悪役道を邁進するはずが気が付かぬ間に聖者の方の道へと踏み込んでいたこの作品の主人公、オウガであるが。画面の前の読者の皆様も何となくお察しであろう。彼に悪役なんぞ出来る訳はない、と。中世世界に日本の価値観を持ち込んでいる、というのもあるがそれ以前に彼、転生してもやはり善人なのである。まごう事なきお人よしが異世界でカリスマを得て王者の風格すら得ているのである。ならばやはり、聖者と呼ばれるようになるのは当然であるのかもしれない。

 

 

 

そして彼もまぁ、性欲もろもろの部分は年頃の男子であるというのが分かるのが今巻であり。更には倒すべき唾棄すべき悪が現れ、聖者と言うゴールへのレールが引かれるのが今巻なのである。

 

前巻、アルニアをぶっ飛ばした事でカレンとの婚約は成立するも、結果的に注目を集めてしまう事となり。彼を倒して名をあげようとする生徒達を瞬殺したり、アリスの中での自己評価を疑問に思ったり、マシロにプロポーズめいた言葉を言ってしまったり。そんな中で、学園長であるフローネからの生徒会入りの打診を、弟子である生徒会長、レイナ(表紙右)を差し出すと言う条件の元に出されるがそれを一蹴し。

 

「―――なら、俺の元に来てみるか?」

 

その後、レイナとお茶を共にしたことで彼女の茶の淹れ方に感銘を持ち。仲間として引き抜く為、彼はレイナを手に入れる事を決める。

 

彼女を振り回しながら気が付けば何気なくサポートし、更にはパジャマパーティで皆で親睦を深めたり。フローネの魔の手により生徒会に強引に入れられ、更には魔術対抗戦のメンバーに選ばれ、マシロとレイナと共に躍動する中。オウガの何気ない行いは、レイナの中に焼き付いていき。気が付けばその心を覆う鎧を、一枚ずつ剝いで行く。

 

彼女が抱えている闇、それは正しく人形としての在り方。全ての事態の黒幕である彼女により、生き方を歪められ。人格すらも歪められ、ただ、彼女の為に。全てを奉仕せんと、その生き方を強いられていたというもの。

 

「心配しなくていい。俺はそばにいる」

 

だけど、彼はそんな闇をまとめて飲み込み、支え抱えるという。レイナの全力を受け止めて、傷だらけになって。それでも近くまで歩み寄って、彼女を受け止める。

 

その裏、オウガとカレンの父親の介入により、真の狙いへ迫っていた黒幕は撤退し。凶悪犯として指名手配された事で。オウガとの因縁も否応なく発生した事で。彼との激突のフラグが立ち、聖者への道が開かれるのである。

 

より勘違い、しかし更に王道を突っ走っていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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