読書感想:英雄女騎士に有能とバレた俺の美人ハーレム騎士団 ガイカク・ヒクメの奇術騎士団

 

 さて、「悪を為して巨悪を討つ」、というのはとある仮面の魔人の名言である。というのはさておき、「戦いは数だよ」、といった顔面が傷だらけな弟もいる。 実際、例えば一人、突出して強い戦力がいる部隊と、統率は出来ているが個々の力は比べるべくもない、万の部隊がぶつかり合ったとしたら、どちらが勝つであろうか。突出した強さとて、それが一人だけならいつか限界は来る。そこまで負けず、周りを削ぐことが出来れば勝てるかもしれない。 よくラノベである無双、も現実的に言えば多勢に無勢であれば出来ないのかもしれない。

 

 

と、まぁここまで語ってきたわけであるが。この作品の主人公、ガイカク・ヒクメことガイカクは悪人である。ソフトな悪人ではなく、法に照らし合わせれば死刑確実なくらいには悪である。しかし、悪だとしても守るべき一線がある。そんな悪人の、戦いのお話なのだ。

 

とある異世界、そこにある王国の一角の領主であるボリック伯爵。脂ぎった身体にただなる魔力を宿し、精力的に領内の治安維持に努め。疑う声も少なくなり、騎士団への推挙も間もなくなのではないかと噂され始めた人物。

 

「勝算はあるさ、だから来たんだ」

 

「重要なのはな・・・・・・犠牲が出ずに勝ったってことだ」

 

 

 しかしその栄光の裏、それを為した影が一つ。それこそがガイカク。違法な技術と認定された技術を研究する魔導士であり、ボリック伯爵の私兵として動く者。しかし、違法を扱う者でありながら彼にはその言葉からイメージされるものとは違うところがあった。 エリート、と呼ばれ表で輝く者達とは違い、彼が配下として従えるのは様々な亜人種の奴隷であり、落ちこぼれと呼ばれた者達。 しかし、女性だらけの配下たちを彼は大切にする。 死なないように鎧も与えるし、使い捨てにはしないし、何なら彼女達の性処理にも付き合ったりする。普通の奴隷の主人とは違う彼に、その配下たちは惹かれているのである。

 

自称弟子のソシエ(表紙右)を傍らに、ダークエルフの奴隷や獣人の奴隷を受け入れ。まるで奇術の様に、様々なトリックを用い騙しながら。 時には騎士団からの脱走者のエルフを始末したり、山賊となった元正規兵たちを始末したり。伯爵の報酬の中抜きに気付きつつも、自身も納税してないし困ってないからまぁいいか、と構えながら裏の仕事に励む中。伯爵の偉業を聞きやってきた、騎士の頂点である騎士総長、ティストリア(表紙左)にガイカクの偉業がバレてしまい。彼の方が騎士団長にスカウトされ、断れば調査されて死刑確実、というのを暗に突き付けられ。

 

 

「・・・・・・引く道がない以上、進むしかないな」

 

 

戻れば破滅、ならば進むしかない。新たに鉱山奴隷に落ちかけていた、女傭兵たちを仲間に迎え入れ。騎士団となる為に課された任務へと挑む。

 

制圧された砦の奪還、そして違法薬物を流通させている違法魔導士の制圧。無論簡単な任務ではない。

 

「私たちの親分は、天才なんで」

 

だが、彼にとっては、そこまで気張る事もない事。簡単な事だ、いつも通りやればいい。いつものように、悪道を為して正義を為せばいいのである。

 

 

真っ直ぐハーレム、時に戦術無双の面白さがあるこの作品。ハーレム系のお話が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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