読書感想:俺は知らないうちに学校一の美少女を口説いていたらしい 5 ~バイト先の相談相手に俺の想い人の話をすると彼女はなぜか照れ始める~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:俺は知らないうちに学校一の美少女を口説いていたらしい4 ~バイト先の相談相手に俺の想い人の話をすると彼女はなぜか照れ始める~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、あとは一歩踏み出すだけだった湊と玲奈は前巻の最後、ようやっと残る最後の一歩を詰め合って恋人同士になった訳であるが。今巻はいよいよ最終巻である。終わりである。では何を描くのか。それはこの作品らしい日常。ほんのりと進んで、何気なく歩んで。最後まですっきり、あっさりと駆け抜けていくのである。

 

 

 

「そんなの当たり前だろうが」

 

「まあ、そういう部分も可愛いんですけどね」

 

改めて実感する、彼女の事を大切にするという思い。そして改めて、一応は他人と言う扱いだからという建前の元に柊の方の玲奈にも付き合いだした事を告白し。二人の恋は本格的に幕を開ける。

 

「じゃあ、帰るか」

 

しかし何が変わるのか、という事であるが。そうすぐに何かが変わるわけではない。関係性が変わっても、二人の歩いていく速度は今まで通りに。時にゲーセンにまで足を延ばしてみたり、玲奈が改めて母親のお墓参りに行ったり。のんびりゆるりと、二人の速度で歩いていくのだ。

 

そんな一足飛びではない歩みが何を変えるのか、何かを急に変えていく訳ではない。だけど出来た心の余裕は、周りを見る余裕を二人の心の中に芽生えさせていく。

 

「俺達も手を繋ぐぞ」

 

「もちろんです。負けてられませんから」

 

それは、和樹と舞の元恋人同士という関係を知った時にも発揮される。二人の関係を取り持つためにダブルデートを提案し、こっそり見守る先で二人が手を繋いだのを見て負けていられないと自分達も手を繋ぎ。そんな負けん気を楽しむ余裕すら、心の中に芽生えさせる。

 

「髪が邪魔だったから切ってみたんだ」

 

そんな二人の交際はやっぱり学校にもバレて、湊の今までの地味さから心無い陰口を招いて。そんな陰口に心を痛める玲奈を笑顔にするため、湊は最後の決意を固め。イメチェンと言う名目で、今までとは違う自分を見せ、陰口を封じ込めて見せる。

 

頑張れるのは彼のため、一生懸命になれるのは彼女のため。そんな二人の恋路はこれからも。のんびりと続きながら、これからもゆっくりと深まっていくのだろう。ゆっくりと深めて、更に関係を深めていくのだろう。そんな愛の予感を、素直に感じさせてくれるのだ。

 

更に甘く、そのままにあっさりと駆け抜けていく今巻。最後まで画面の前の読者の皆様も是非、見届けてあげて欲しい。

 

俺は知らないうちに学校一の美少女を口説いていたらしい 5 ~バイト先の相談相手に俺の想い人の話をすると彼女はなぜか照れ始める~ (HJ文庫 こ 05-01-05) | 午前の緑茶, 葛坊煽 |本 | 通販 | Amazon