前巻感想はこちら↓
読書感想:俺は知らないうちに学校一の美少女を口説いていたらしい3 ~バイト先の相談相手に俺の想い人の話をすると彼女はなぜか照れ始める~ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、ゆっくり煮詰めるように、深めるように。一歩ずつ絆を育み恋と言う気持ちを育んできた湊と玲奈の二人であるが。画面の前の読者の皆様、何処かで挟まれるであろう展開というものについてはもうお察しであろう。そう、正体バレである。幾ら鈍感な湊であっても、いつかは気づく時が来る。そこがきっと、何かを変える分水嶺。そうなる瞬間が訪れるのが今巻なのである。
「い、嫌じゃありません! 行きます! 絶対に行きます!」
前巻、ようやく二人の仲が手を繋ぐまでに進展し。周囲に噂が少しずつ立ったりしながらも、時に玲奈の見慣れぬ髪型を褒めたり、勇気を出してデートに誘ったり、と。湊の方から少しずつ勇気を出し動いていく事で、二人の関係が動き出していく音は少しずつ響きだす。
「もしかしたら次のデートは積極的に来るかもしれませんよ?」
デートコースは決めておらず、相談できる相手として柊の方の玲奈に相談し。何処で何を仕掛けるのか、というサプライズを意図せずしてバラしながらも結果的に彼女と相談する形でデートコースは決定する。
「そっちこそ、どうなんだよ?」
最初の仕掛けるポイントである映画館で、予想外にも玲奈の方から仕掛けられてドギマギさせられて。
「その、もう少しだけ撫ででください」
お返しとばかりに、猫カフェで存分に可愛いポイントを見届けた後で別れ際に、頭をなでると言う行動を繰り出し。見事に彼女を照れさせることに成功する。
ここまでであれば、いつも通りであっただろう。ゆっくりと深めていく、醸成の期間であっただろう。だが、ここから物語は急展開を迎えていく。もう醸成はいいだろうと、本格的に舞台が歩き出す。
「嘘、だろ。まじか・・・・・・」
迎えたバレンタインデー、二つの顔の玲奈から貰ったチョコの中身。思い返す共通する下の名前。そこから思い返して、ようやっと鈍い彼は理解する。自分がとんでもない事、知らないうちに学校一の美少女を口説いていたという事を。
そうなってしまえば意識してしまう、歯車が狂っていく。心がどんどんと走り出していく。
「やっぱり自分の言葉で言うことが大事だと思うよ」
更に背を押すのは、実はすべてを把握していた和樹の言葉。悪びれもせず笑いながらも、きちんと大切なことを湊に伝授し。湊の心は、どんどんと告白へと傾いていく。
「だから、好きって言った」
意識してしまえば、スキの感情は止まらない。どんどんと高まる思いのままに、気が付けば。ホワイトデーのお返し片手に、告白の言葉まで届けていたのである。
一気に物語が加速し、誰もが望んでいた場所に辿り着く今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。