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読書感想:天使は炭酸しか飲まない3 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、終わらぬ夏、と言う事にはならなかったので一安心、という訳でもなく。この作品はこの先が出るかも未だ、不透明という事なので皆様是非この作品を呼んで欲しい次第である。という訳で、今巻のお話である。今巻では何を語っていくのであるか、と言う事であるが。我らの天使である伊緒と、正反対なタイプだが何故か仲が良い亜貴のお話である。
伊緒と湊とは違い、亜貴との間に恋愛感情はなく。しかし湊でも立ち入れない、謎の友情がある。果たしてそんな二人は如何にして出会い、仲良くなったのか。その辺りに触れていくお話なのだ。
「だから極端な話、あたしにとってテニスはただの手段なんだよ」
亜貴が一方的に絡まれ騒ぎが起きて、部内で彼女の孤立化が始まって。そんな彼女を何とか助けたい、と思う中。亜貴はどこかいつも通りにドライな様子で、本気ではないと言う事を口にし。その本心をはぐらかす。
「ドツボにハマるよ、あいつ」
そんな彼の裏側で、湊は伊緒が辿り着くかもしれぬ可能性を指摘され。彼が縛られる恋を忘れさせてあげればいい、という助言を受ける。
「あとを引いてる、というのは、大きいだろうな」
そんな事もつゆ知らず、伊緒はテニス部に蔓延る問題の根底に向かっていく。そこにあるのは、かつて亜貴が引き起こしたと言えるかもしれない問題。彼女が今の状況を引き起こした、と言えるかもしれないからこその問題。その問題に、テニス部内でも慕われる双葉との激突が絡み合ってしまったことで。より複雑な方向に踏み込んでしまったのである。
恋愛問題専門の天使である彼に、絡むことは出来るのか。何かできるコトはあるのか。無論、それはある。人知れず絡んでいたのは、恋の糸。そこから関わっていく事で、亜貴を取り巻く空気に立ち向かっていく。
「受けて立つから、あとで来い」
だけど、彼は亜貴の事を見誤っていた。彼女は、自分の中に超える力を持っていた。伊緒の助けなんていらない程。それは彼女だからこその力。彼女が今まで培ってきた関係から生まれる力。
「誰の助けもいらないお前を、それでも俺は助けるよ」
それでも、彼女が困っていたら力になりたい。助けたい。その思いを改めて口にする。それは、友情が故に。混じり気のない一つの純粋な思いが故に。
更に青春が煮詰められ、面白さを増して少しずつ歩いていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。