読書感想:ヴァンパイアハンターに優しいギャル2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ヴァンパイアハンターに優しいギャル - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、非日常系女子である銀華と日常系女子である琉花の交流は前巻で始まった訳であるが。前巻を読まれた読者様であれば、かつて銀華が所属していた狩人同盟の現在のしょうもなさ、というのはご理解頂けているであろう。まぁ滅ぼすべき怨敵を滅ぼしてしまったので、活動目的を無くしたという理由はあるにせよ、人間は割としょうもない、というのが分かる訳であり。今巻もまた人間の愚かな部分が起こす騒ぎに巻き込まれていくのである。

 

 

もっとも厄介な人間とは何か、それは縋る者。こちらの話を聞かず、ただこうであれと崇拝してくる手合いが一番面倒くさい、というのを先に覚えておいていただきたい。

 

「狩人同盟にご帰還いただきます」

 

夏休みも迫る中、水着としてウェットスーツを選ぼうとした銀華に琉花が妥協案としての水着を教えたり、ひなるの一言からインフルエンサーを目指そうとして全力で止められたり。楽しみが迫る中、狩人同盟からやってきたのは、殲滅作戦に裏方として参加していたため、実戦未経験な狩人、スエラ。前巻で銀華が非常事態とは言えやらかした戒律違反を咎める為、ひいては同盟へ帰還させるため。監視者として彼女はやってくる。

 

「この問題、あたしに預けてくんない? ふたりが納得できるアイデア考えてみっから」

 

だがしかし、銀華は帰ってくるなと言っていた師匠からの指令を護るため、更にはそもそも同盟なんて滅んでしまえばいいという考え方の為、終わらせるにしてもゆるやかに終わらせるために銀華の威光を借りたいスエラと噛み合う筈もなく。苦肉の策として琉花がとりあえず何も考えつかないけれど半ば強引にこの問題を預かり。一先ず銀華とスエラの仲を近づけようと、彼女達も含めて海へ行ったり。ギャルらしく日常を全力で過ごしていく。

 

 

その行動は、ある意味で空気を読まぬもの。それは銀華にとってはもはや慣れたもの。しかしスエラにとっては未経験、受け入れにくいもの。監視の期間が何だかんだと過ぎて監視も解ける中。スエラ達監視グループたちは、半ば強引にでも事を為すため、琉花を巻き込んで行動を起こす。

 

 

その根底にあるのは、かつて銀華に救われたと言う過去。その過去を持ち心を彼女と言う輝きに焼かれたからこそ、彼女を求める。だけどそれは、今は煩わしいものでしかない。

 

「銀華と一緒にいたいから」

 

ならば激突し合うしかない、お互いの強さがぶつかり合おうとする矢先。空気を読まぬ一般人のギャルだからこその琉花の主張が炸裂する。銀華たちの為に何が出来るのか、自分なりに考えた彼女だけの夢。

 

 

「私はその前例というものになりたいんだ」

 

その夢に釣られ、銀華もまた。戦闘を離れた狩人だからこその夢を見つけていくのである。

 

ちょっぴりシリアス、その中に更に強さを増した友情がある今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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