読書感想:彼女が先輩にNTRれたので、先輩の彼女をNTRます3

 

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読書感想:彼女が先輩にNTRれたので、先輩の彼女をNTRます2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、もだもだと、それでも少しずつ主人公である優とヒロインである燈子は心の距離を詰めている訳であるが、画面の前の読者の皆様は元カノであるカレンの事を気にされた事はあるであろうか。他人にはぶりっ子、優には腹黒。一度全部本性を見せて別れた事で、ある意味彼とは気安い関係となった彼女。そんな彼女は何かを仕掛けてこないのか、と言われるとそうでもなかったのである。

 

 

今年から実施される彼等の大学のミスコン改め「ミス・ミューズ」。それぞれの特技や個性に合わせて九人の女神を選ぶ、という一見すると順位を決めない、しかも女神に選ばれればメリットしかないイベント。しかし無論燈子には応募した覚えもなく。応募しないと言う多様性を盾に辞退しようとしたところで、カレンが彼等に接近し。優に推薦人になって欲しいと迫った事で焦った燈子は、半ば誘導されるように出場を決める。

 

「何より、あの女にこんな所で消えて欲しくないんだよ」

 

 やるのならば全力で。早速SNSを活かしアピールを始めるも、最初こそ結果は上々なれど、すぐに伸びは打ち止まり。どうしたものかと悩む優へ、何を思ったのかカレンはアドバイスをし。そのアドバイスを元に、料理やコスプレ等の可愛らしさでアピールすると言う策を打ち出す優。しかし彼が立ち向かわなければいけない問題は、もう一つあった。

 

それは燈子が徐々に人気を得るにつれて現れてきたアンチの存在。無節操に見えるその裏には何かしらの規則性がある。その規則性を元に突き止めたのは、二年連続のミスコンの優勝者でありながらも、とある事情から燈子に一方的な恨みを抱く、朱音という女性の存在。

 

正しく親衛隊と言わんばかりの、その攻撃を跳ね除けても二の矢、三の矢は既にある。過去のミスコンに攻略のヒントを求め奔走する優を呼び出した朱音は、自分の陣営に就くことを要求する。まるで下僕へ命令するかのように。

 

「でも大丈夫、俺たちが後悔する結果にはなりませんよ」

 

だが、彼女は知らなかった。優がとっくに靡かぬ存在となっていた事を。自分が考えているよりも二枚くらいは上手であり、既にカレンも含めて予防線を張っている事を。

 

「私は臆病な人間です」

 

そして、燈子があの日の事を自分の中で消化できるくらいにはなっている事を。彼によって彼女の心がどれだけ強くなっていたのか、という事を。

 

策を全て覆したのならば負ける理由は何処にもなし。試合に負けて勝負に勝つ、と言わんばかりにカレンは実利だけを漁夫の利で譲り受け。

 

「なんか駆け落ちみたいで、ドキドキするね」

 

そして頑張った優と燈子も、ご褒美と言わんばかりの二人だけの時間を手に入れる。更に近づいた距離という、望んだ成果を手に入れるのである。

 

カレンがトリックスターとして頭角を示し、更に面白くなる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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