前巻感想はこちら↓
読書感想:彼女が先輩にNTRれたので、先輩の彼女をNTRます - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で主人公である優とヒロインである燈子の復讐計画は成功と相成り、倍返しは成功したわけであるが、そこから続く今巻では何を描いていくのか。それは勿論、「ラブコメ」である。本当の復讐、それは「幸せになる事」。幸せになって、思い出す事も無くなって初めて。本当の意味で全ては為された、と言ってもいいからである。
だがしかし、あれだけの事を為しても二人の関係に特に進展は見られなかった。燈子のスタンス、そしてそもそも予定が合わない等の事情により。Xデーを超えて新年を迎えても。大学内の様々な所で噂になりながらも、大山鳴動して鼠一匹と言わんばかりに二人の関係は宙ぶらりんなまま進まなかったのである。
「そんな女、私の前にいたら優さんの代わりに引っ叩いてやります!」
その隙を突くと言わんばかりに、優に接近する影が一つ。親友である石田の妹、明華(表紙)である。初詣の場で久しぶりに再会を果たし、早々に勉強を教えて欲しいと言う名目でぐいぐいと来て。そんな彼女に、燈子と共に自分達も試験勉強をしながら教える事になり。優を挟んで新たな関係が始まるのである。
折しもサークルで毎年恒例のスキー合宿が、鴨倉とカレンの脱退により定員不足の羽目に陥りそうになり。外部の者も参加可能と言う事に明華が食いつき。そんな彼女を見て、不参加を表明していた燈子も参加を決め。決戦の場は雪山と言わんばかりに、いつもとは違う日常の中で三角関係が燃え上がる。
明華がまるで先手を取ると言わんばかりに優に積極的にアプローチを仕掛け、ラブコメの気紛れな女神が味方したと言わんばかりにラッキースケベなイベントが巻き起こり。それを見、心揺れる燈子と優の思いはすれ違う。
「こんな気持ち、自分でも醜いかなって」
その心の奥底に揺れるのは、再び燃えんとする恋。信じられるからこそ、踏み出したいと。なかなか言えぬ思いを、素直に伝える事は難しくて。
「俺は大丈夫ですよ。男ですから」
そんな思いは優の心の中にも。でも宙ぶらりんな気持ちだとしても、燈子への思いは本物だから。だから彼女がもし困っているのなら、何処にだって駆けつけると言わんばかりに。絆を見せつけるかのように、二人の間の距離は雪解けを迎え、もう一度向き合いだす。
「私、負けませんから! 燈子さんにだって、誰にだって!」
だが、そんな事くらいで諦められたら苦労はしない。明華は改めて宣戦を布告し。更には謎の事態が二人の関係の裏で進行を始める。
本格的なラブコメの始まりを告げ、熱くて鮮烈な思いをこれでもかと示していく今巻。正にラブコメ、譲れないと言う願いが強いからこそ面白い。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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