さて、この世界には「良薬口に苦し」という諺があるが、実際の所、漢方薬に代表されるように薬とは苦いものである。そんな薬が飲みやすく飲めたら、と考えられた事のある読者様も多いであろう。ではここで思うのであるが、ファンタジー世界に於ける薬であるポーション、とは実際どんな味なのであろうか。某SAOにおけるポーションは味の描写があったりしたが、実際の所はポーションとはどんな味なのであろうか。
美味しければよい、という話もさておき。この作品はポーションが物語の根幹にかかわってくる作品であり、そのポーションで無双していく作品なのである。
回復魔法全盛期のとある異世界、かの世界のとある街の治療院、つまりは病院のような施設で働く少女、メディ(表紙)。偉大な薬師である父親に憧れ、自らもまた回復魔法は使えずとも薬師として数多くの患者を救っていた彼女は、患者に毒を盛ったという濡れ衣を着せられ、追放処分となっていた。
「どこに行けばお薬、出せますかねぇ」
だがしかし、彼女は救う事を諦めようとはしなかった。自分の力を必要としてくれるのは何処か、ということを考え、彼女は魔道列車を乗り継ぎ更には歩き、カイナ村と言う辺境の村へと辿り着く。
「お薬、出します!」
そして彼女は確かに魔法は使えない。だが、一瞬にして患部を見抜く慧眼を持ち、更には類まれなる調合の腕前を持っていた。そんな彼女が、周囲の人達を治療するのに苦労するわけもなく。彼女はあっという間に、辺境で薬師として成り上がっていくのである。
更に彼女の周りには、多くの治療すべき患部を持った持った者達が集まっていき、彼女の治療により元気になっていく。
動きに精彩を欠く一級冒険者、アイリーンの動きを取り戻させ、同時に彼女の心を解き放ち。
特異体質故に上手く魔法を使えぬエルフの魔導師、エルメダの体質を薬で解決し、同時にその心までも助けて見せ。
更には、治療に必要な薬草の苗木を貰いに行った、気難しい公爵様の潜んでいた病気を解決し。その門番であるカノエに気に入られ、彼女を仲間に加える。
そのように有名になっていくメディの光の裏側、かつて所属していた治療院は没落と言う鬱き目に遭っていく。彼女の必要さを感じ改心する者もいれば、彼女を逆恨みし暗殺者を差し向けてくる者達もいる。
「それでも私は薬師を続けます。ここには私のおかげで助かったと言ってくれる人達がいます」
だがそんな輩が、メディを守る強力な力達に叶う道理などもなし。そんな奴等は救われる必要はないかもしれない。だがそれでも、ここには救うべき人達がいる。だからこそ、裁かれる悪人たちを振り捨てて。一歩成長したメディは今日も治療に向かうのである。
王道的な成り上がり作品が好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
お薬、出します! 追放された薬師の少女は、極めたポーションで辺境の薬屋から成り上がる (ファンタジア文庫) | ラチム, 朝日川 日和 |本 | 通販 | Amazon