読書感想:魔法警察ファンシー☆マリリン1 ~証拠がなくても即逮捕!~

 

 さて、最近のラノベ世界の風潮として、最近は探偵もの、ミステリーものが少しずつ流行している訳であるが、画面の前の読者の皆様はお察しであろうか。さて、一つジャンルが流行を始めるとどうなるかという事であるが。 ラノベ界にほんの少しだけ長く生息してきた私から言わせてもらうと、内容の多様化が始まる訳である。推理、ミステリー、推理する探偵、という根底の味は変えずに。そこに掛け合わせる要素の味を変えていって、様々な味を出していく訳である。

 

 

ではこの作品における、掛け合わせされる味とは何か。それは魔法少女、そしてコメディ。一件相反する要素を掛け合わせ、更にはコメディを根底に据えることで。シリアスみを感じさせぬ、くすりと笑えるかもしれぬ面白さを出している作品なのだ。

 

「魔法警察ファンシー☆マリリン! 捜査もしないで即逮捕ッッッ!」

 

そしてそのコメディの根幹をなすのが、魔法少女、この作品における魔法少女、その名もマリリン(表紙中央)。魔法の国からやってきた魔法警察(自称)な彼女は、どこからともなく事件現場に現れて。魔法のアイテム取り出して起動一発、即座に犯人の名前を当てて見せる。

 

しかし、その推理は的外れ、という訳ではない。それどころか内容としてはあっている。しかし、彼女の推理は魔法頼み、言うなれば数学の方程式において、解法と過程を交えず、そのまま解答を書き込むようなもの。

 

「いや、だめだろそれ・・・・・・」

 

そんな彼女の推理を補うのが助手、ではなく天才高校生探偵、零人(表紙右下)。高校生ながらに数々の難事件を解決してきた彼、その推理現場に突如乱入してきたのがマリリンである。魔法による鮮やかな解決の手法に驚かされるも、非科学的なものだと否定しマリリンとちょっとぶつかり合い。一方的に助手に指名してきた彼女に振り回されつつも、推理と言う論理で彼女の魔法を補い、途中の解法を言葉にして犯人にたたきつける役を担う。

 

彼等が遭遇する事件、それは六つ子の一人の殺人事件から怪盗による盗みの事件、更には謎の洋館にて巻き起こる連続失踪事件まで。様々な事件をドタバタと共に駆け抜け、時に呆れたり時に魔法で撃たれそうになりながらも、何だかんだとコンビの様に事件を解決していく。

 

「こちらこそ。じゃあ、行こうか」

 

そんな凸凹な相棒関係は、まだまだ続いていく。気が付けば彼女と推理するのが少しだけ楽しみになって。真に相棒関係になっていくのだ。

 

凸凹コンビのコメディ、それが根底だからこそ笑える時には笑える、かもしれぬこの作品。軽めな推理を読みたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

魔法警察ファンシー☆マリリン 1 ~証拠がなくても即逮捕!~ (オーバーラップ文庫) | やますやま, さまてる |本 | 通販 | Amazon