前巻感想はこちら↓
読書感想:男子だと思っていた幼馴染との新婚生活がうまくいきすぎる件について - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で「本物」の夫婦となった秀一と唯華の二人であるが、新婚夫婦と言えど二人は未だ未成年である。故に責任の取れぬ行為は厳禁であり、夫婦である以上その辺りにも責任を持たねばならぬ。そんな制限は、この二人にどんな影響を与えていくのか。それはもどかしさに他ならぬ。「夫婦」であっても、未だもう少しそこまではかかるのであるから。
「あっという間に感じるくらい、楽しかったってことかな?」
誰とも交流せずに淡々と授業をこなすだけ、しかし今年は唯華という嫁が傍にいてくれるようになったおかげで、瑛太や陽菜といった人間関係も増えて。気が付けばあっという間に一学期も終わり、夏休み。学生にとっては解放の時である。
では「新婚夫婦」である二人にとっては、どんな時なのか。彼等にとっても解放の時である。合法的にいちゃいちゃできる時なのである。
女性らしいと思ってみれば、わんぱくな男の子っぽい変わらぬ所もあったり。ちょっとしたラッキースケベをしたり、何故かお風呂場にコクワガタが乱入して来たり。始まって早々、イベント満載な中。友達四人組で旅行に出かけたり、二人っきりで新婚旅行に出かけたり。思いのままに、二人で夏の日々を満喫していく秀一と唯華。
「お義兄さん、二番目でいいから愛して?」
だがしかし、思い通りにいかぬのもまた楽しいと言う旅行の中。そこに波乱が突然にやってくる。帰国した唯華の妹である華音が二人の旅行先に押しかけ。何故か押し切られるままに、彼女も旅行に同行することになってしまったのである。
二人の関係をかき乱すかのように、アプローチをかけてくる華音。まるで秀一をどこか試すかのように、夜這いまでかけてくる。それを見て、唯華はどう思うのか。
「どうせ無駄だからぁ・・・・・・」
「それに応えることは、出来ないよ」
だが、表面的には激烈に反応すれど、唯華はどこかあっけらかんと許す。それは秀一を信じているから。そして秀一もまた、唯華以外とはそういう事を考えてはいない。だからこそ小揺るぎもしないのは当然の事なのである。
「もし次があったら、少し自信がないかもしれない」
だが、ハプニングもまた二人の絆を高めてくれる。期せずして行われた唯華の夜這い、それは秀一の理性を削るには十分であり。確かな変化の実感を、齎してくれるのである。
この二人、まだまだもどかしい。けれど、心配する必要もないだろう。揺るぎもしない、だからこそいつか未来に幸福になる筈だから。
更に糖度を高めていく今巻、前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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