読書感想:英雄夫婦の冷たい新婚生活2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:英雄夫婦の冷たい新婚生活1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、永遠の愛なんてものが存在するのなら不倫なんてものは存在せず泥沼の離婚劇、なんてものも存在していない筈である。という一言はさておき、前巻でアルマとエリーゼは互いの理想をすり合わせ絆を取り戻したわけであるが。このままラブラブしていくのか、と言われると残念ながらそうではない、と言える。喧嘩する程仲が良い、雨降って地固まる、割れ鍋に綴じ蓋。そんな言葉が似合うこの二人が喧嘩しなければ只のバカップルである。そして喧嘩している姿の方が輝いている二人が、喧嘩しない訳もないのである。

 

 

 

「任務と私、どっちが大事なの?」

 

アルマが任務という名の出勤前、別れを惜しむエリーゼから惜しまれてぐだぐだと、そんな甘いやり取りを交わすくらいにはラブラブであった二人。

 

「で、何のつもりか聞かせてもらおうじゃない?」

 

所が任務後の夜、エリーゼの機嫌は急降下していた。何故ならば、それはアルマが任務中に裏路地で保護した存在のせい。何者かに追われ、怪我をしていた「セレナ」(表紙右)を名乗る女性。奇しくも彼女は、アルマにとって忘れられぬ女性に似ていた。追われていると語る彼女は夫婦に助けを求め。個人より全体を重視する、が信条である筈のアルマが任務でもないのに彼女を助けるのを決めた事で。エリーゼの心は疑念に揺れていく。

 

しかもアルマが上官へと意味深に聞こえる報告をしたせいで、状況はよりこんがらがっていく。二人の仲直りの為に再び居候になったオリビアと、何故か商人欲求の塊と言わんばかりに各所で目立ちたがるセレナを巻き込み。隠し事をしているアルマと、彼を疑うエリーゼはすれ違っていく。

 

 事件の裏、蠢くのは二人の天才科学者の思惑。期せずしてその思惑に迫る中。アルマとエリーゼはお互いの疑念を見つめ直し、エリーゼはアルマが隠していたもの、彼の過去の一端に触れる。

 

「きみの愛情に、受け身でいたくない」

 

大切なのは、誠実さを間違えない事。自分の弱さから目を背けぬ事。理想の旦那に近づくための更なる一歩。セレナとの語らい、彼女による騒動に巻き込まれて戦いの中へ飛び込む中。アルマはまた一つ夫としての心構えを知り、夫婦としてレベルアップしていくのである。

 

前巻にも増して大騒動、喧嘩ップル的ないちゃいちゃが更に深まっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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