さて、「強い」と一言で言うけれど、本当の強さとは一体何であろうか。本当に大切な強さとは一体何なのであろうか。腕っぷしが強い事が正義なのであろうか。それとも、心が強いと言う事こそが重要なのであろうか。その答えは各自、考えていただくとして。心無き力、というものは只の暴力にしかならぬものである。
数々のヤンキー達が徒党を組み、日夜しのぎを削る街、日影市。この市のとある高校に入学した少年、秋良。彼は入学早々、容姿端麗、才色兼備な生徒会長、雫花(表紙)と出会い、親交を結ぶ事になる。
「私ね―――私より強い男と結婚したいの」
だが、彼はすぐに彼女の秘密を知ることになる。彼女こそは伝説の女番長である元ヤンキー。しかもヤンキーになった理由が自分より強い男を探したい、という武闘派シンデレラにも程がある理由で。
「おまえ、俺に逆らおうなんて、いい度胸だな」
しかし、雫花もすぐに秋良の秘密を知ることになる。自分より弱いと思っていた彼は、この市を一日で統一した伝説の番長であった。だからこそ、恋に落ちるのも当たり前であったのかもしれない。まるで王子様を見つけたかのように、彼女は彼に恋に落ちたのである。
だがしかし、既に両想いみたいなもの、と言っても過言ではないこの二人には共通する弱点があった。それは恋愛面がとんでもない弱キャラであったという事。恋愛面はぽんこつな雫花ととんでもなき鈍感レベルな秋良。二人の恋路がそう簡単にいくわけもなく。
雫花が秋良にお弁当を作ったり。こっそりと告白の練習をしたり、二人で出かけたり。時々絡んでくるヤンキーをぶっ飛ばしながら、二人はお互いを特別な存在であると意識し、徐々に距離を詰めていく。
だが、それをよく思わぬ輩がいる。雫花に歪んだ愛情を抱く、陰キャラに見せかけた不穏分子が彼女のすぐ側に潜んでいる。隙を突かれ罠に嵌められ、連れ去られてしまう雫花。傷つけられ、絶体絶命の中で浮かぶのは秋良の笑顔。
「俺の大切な人に手を出すなんて、いい度胸だな」
「さっさとくたばれ、外道野郎!!」
そこへ救援へと駆けつけるのは、勿論秋良である。番長権限を駆使し部下を足とし現場へ駆けつけ。怒りのままに、だが怒りに囚われずに桁違いの器の大きさを見せつけ、痛みを受ける事も恐れずに。黒幕を圧倒的な強さでぶっ飛ばした秋良へ、雫花は改めて惚れ直し、思いが口から零れ落ちる。
だがしかし、そこで進まぬのが二人である。最強なカップルは、未だ本当の意味では始まらぬのである。
youtubeの漫画動画が原作ゆえに、テンポの良いラブコメが楽しめるこの作品。
真っ直ぐなラブコメが好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。