読書感想:塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い6

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前巻感想はこちら↓

読書感想:塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、割れ鍋に綴じ蓋という言葉が似合いそうなこの作品の主役カップルである押尾君と佐藤さん。しかし、同時に時々ため息が出てしまう程にもどかしい、まるで三歩進んで二歩下がるような、もだもだとした恋路を歩んでいると言うのは、シリーズを読まれている読者様であればご存じであろう。普通、ラブコメカップルが成立していて六巻もすれば、恋のABCくらいは制覇しててもおかしくない筈なのに。それこそが二人の魅力であると言えど、やっぱりもどかしさとこそばゆさに二人の関係は溢れているのである。

 

 

「学校で、話しかけないで」

 

さて、前巻では押尾君側の問題ではあったけれど、今回は佐藤さん側の問題から幕を開ける。前巻の騒動の中、惚れ直した。しかしそれが故に、塩対応が押尾君にだけ発動するようになってしまったのである。

 

「―――つまらなくなんかないですよ?」

 

 心は繋がっているけれど、傍目から見ればすれ違い。そんな中、二人をそれぞれ襲う新たな波乱。押尾君はひょんな事から登録者六万人のミンスタグラマー同級生、薫に懐かれ。佐藤さんは父親からフォロワーを百倍にするという試練を課せられたのだ。

 

塩対応、故に中々頼れずに。一人で奔走する事になる佐藤さん。その様子を心配しながらも、何処か遠くから見守る形となり。彼女に構う間もなく、薫に振り回される押尾君。

 

「―――フツー、カレシにあんな顔させてるの知った上で、それでも堂々とカノジョだって名乗れるわけないじゃん」

 

胸をまるで殴りつけるかのように響く、薫の言葉。押尾君の優しさに惚れてしまった彼女から突き付けられる、自分がどれだけ彼の事を見ていなかったのか、彼の優しさにどれだけ甘えてしまっていたのか、という事。

 

改めて彼への思いを見、自覚する好きと言う気持ち。その背を押すのは父親の言葉。誰かに頼れ、友の力を使えと言う今までの彼女では思いもしなかった助言。

 

「―――私、負けないよ」

 

 そう、自分はもう一人ではない。大切な人が、大切な仲間達が傍にいる。そして彼の事を好きと言う気持ちは、彼女にだって負けはしない。例え万倍の差があろうとも、この思いだけは万倍も自分の方が持っている筈だから。

 

心を明かして、また押尾君と手を繋いで。今まで紡いできた縁を使った逆転の為の大作戦。その結果はどうなるのか。それは是非、画面の前の読者の皆様の目で見届けてみてほしい。

 

混沌を越えすれ違いも乗り越えて。また一つ、成長した思いで進んでいく。前巻よりもほっこりとする甘さと温かさのある今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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