読書感想:双神のエルヴィナ2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:双神のエルヴィナ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品の前巻を読まれた読者様はこの世界が割とヤバめな状況であるという事はもうお分かりいただけているであろう。だが、これもまた忘れてはいけない事である。前巻、照魔とエルヴィナは確かに女神を倒したが、あの女神は未だ下っ端に過ぎないという事。それ即ち、まだ何も始まってはいないのだ。本当の戦いも、この世界の危機も。本当の意味ではまだ始まってはいないのである。

 

 

そして、これもまた、画面の前の読者の皆様の中でこの作品の前巻を読まれた読者様であればお分かりであろう。この作品の女神と呼ばれる存在は、往々にして何処か頭のネジが外れた存在であり、何処か壊れたヤバい奴等の集まりであるという事を。

 

 遂に始まる本当の戦い。その呼び水となるのは新たな女神、シェアメルト(表紙)。かつてのエルヴィナと同じく六枚翼の女神であり、天界最高の恋愛に関する知識を持つ「恋愛博士」である。

 

出会い、エルヴィナのパートナーでいる意味を問いかけられ、憧れの存在である女神との戦いで消耗していた事もあり、揺れ惑う照魔の心。

 

果たして本当に、自分の行いは正しいのか。この世界を守る事なんて本当に出来るのか。

 

「欲望を奪えば、人間の心の暴走は止まる。その方法が、私にとっては恋人関係を消滅させることだったというだけだ」

 

 だが、そんな彼へと告げられるシェアメルトの偽らざる本心。話し合えるかもしれないと思っていた、理性がある存在だと思っていた。けれど、本当は話し合いの余地なんて何処にもなかったという容赦なき事実。それもまた仕方のない事かもしれない。何処までいっても、結局のところ考え方の根底が違うのならば分かり合えぬのだから。

 

許すわけにはいかない。本当の「恋人」らしさを知らぬ女神なんかに負けるわけにはいかぬ。

 

心に灯るは激情の炎。奴にだけは負けたくない、奴の行いを許すわけにはいかぬ。

 

<次の女神は―――俺たちだっ!!>

 

 そして、照魔の心に宿る新たな決意。この世界を守り抜く、その為に。神にしか世界を救えぬと言うのならば、自分と彼女で神になる。まずは女神にだってなってみせる。そんな、神をも畏れぬ蛮行が如き熱き決意。

 

女神が聞けば笑うだろう、蔑むだろう。だが、只一人だけ。笑ってくれて認めてくれる女神が隣にいる。だから、それだけで十分である。

 

新たな決意の元、再び芽吹く「進化」の可能性。誰の知識にもない、計算なんかじゃ測れない。未熟な頭で導き出した、荒唐無稽が故に無限大のその可能性は勝利を導く力となる。

 

更にヤバく、更に熱く。熱さ迸るバトルの面白さが更に高まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱり熱いバトルが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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