読書感想:神は遊戯に飢えている。3

f:id:yuukimasiro:20210822215909j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:神は遊戯に飢えている。2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

(※注意:この感想記事は今巻のネタバレを多分に含む予定ですので未読の方々は読みましてからこの感想を読まれる事を推奨いたします。ネタバレも大いに結構という読者様はこの先もどうぞ)

 

 

 さて、この作品の主人公であり我等が遊戯者のフェイ君には一体何が見えているのであろうか? 全てを自らの想定、策略の内だと言い、どんな状況をも己の手の中でひっくり返す道筋を立てて見せる。一体彼は何処を見据えているのだろう? 一体彼は、誰を相手にする事を想定しているのだろう?

 

「次は俺が遊んでやるよ。答え合わせはその後だ」

 

「ちゃんと教えてやるよ。既に俺が勝ってるってことを」

 

前巻でフェイの光に惹かれ、彼に同道する事を選んだ元遊戯者のネル。その復帰を賭け挑んだ「賭け神」、不定多相の神、グレモワール。フェイの三つの勝ち星を賭け挑んだ遊戯にネルはいっそあっけなく敗北し、勝ち星は奪われる。

 

しかし、フェイは気にした様子もなく気軽に。今度は自分自身の勝ち星を自身で賭け、グレモワールへと挑む。

 

グレモワールがしかけるゲーム、それは「三つの奇術」。コインの裏表当て、ポーカー、ババ抜き。運が勝利の要素を握るゲームで神が必ず勝つ。そのからくりを解き明かす、イカサマ破り、そのイカサマはフェイの仲間達に既に教えられている。この状況から解き明かせと神は告げる。

 

 その遊戯でフェイが敗れるか。否、ここまで読まれてきた読者様であれば想像なんてできないだろう。彼が敗れる所など。

 

遊戯の最後、フェイは自身の思惑を皆の前で明かす。その真意、それは「勝ち星調整」。自身の勝ち星のみが先行している状況では意味がない、最後まで進む為には皆で勝ち進む必要がある。その思惑は見事成り、一丸となるチーム。

 

 だが、そんな彼等を待ち受けていたのは突然の異常事態。突如として全ての支部からのダイヴが特定の遊戯にしか繋がらなくなり、その遊戯が脱出不可能という、今までに誰も経験したことのない異常事態である。

 

救援チームの一つとして乗り込んだのは「神の迷宮ルシェメイア」。何度死んでも復活できる、その代わりに初見殺しと作り手の悪意に満ちた、何の神が作ったかも分からない、謎に満ちた大迷宮である。

 

何度も些細な事で死にながら、その果てに見つけ出したフロアボス。その倒し方すらも悪意に満ち。

 

「このゲーム、ストーリーが進まないバグがあるよね」

 

 その果て、いつまでも来ないフェイにしびれを切らし乗り込んできた、かつての無敗の神、ウロボロス(表紙)は告げる。フェイも辿り着いていた最悪の結論。既にストーリーと勝利条件は破綻している、よってこのゲームは正に攻略不能であるという事を。

 

まるで導かれるかのように、迷宮へと集まりつつある、人間の強者達。そして乱入する神。

 

「そろそろ本気で攻略してみるか」

 

 その中心、フェイは言い聞かせるかのように口に出したのは一つの決意。クリア不可能のこの遊戯をクリアして見せるという決意。

 

今までで一番の熱さへと繋がるであろう、史上最大の遊戯の幕が上がる今巻。

 

だからこそ、こんなにもわくわくする。こんなにも心が燃えるのだ。

 

さぁ、この遊戯を攻略する鍵は何処にある?

 

読まれたのならば、きっと貴方も心燃える筈である。

 

神は遊戯に飢えている。3 (MF文庫J) | 細音 啓, 智瀬 といろ |本 | 通販 | Amazon