読書感想:ツンデレ魔女を殺せ、と女神は言った。

 

 

 さて、最近のラノベツンデレ系ヒロインというのは中々見かけなくなった気がするが、画面の前の読者の皆様にとって、ツンデレなヒロインと言えば誰になるであろうか。その答えは各自、己の心の中に問いかけていただくとして。この作品のヒロイン、ステラ(表紙)はまごう事なきツンデレ、と言えるかもしれない。そんな彼女と共に送っていくのがこの作品なのである。

 

 

世界一のツンデレ愛好家を自称する、日本に住むとある少年。彼はバレンタインの日に、ツンデレな性格である幼馴染にフラれる、という不幸に見舞われ。失意のうちに帰宅する中、工事現場から降ってきた鉄パイプに頭を強打されるという、更なる不幸に見舞われ。気が付いたら、何故か何処かの森の中に突っ立っていたのである。

 

「べ、別に、あんたのためじゃないわ。見つけちゃったんだからしかたなくよ!」

 

何故か自力での移動が不可能と言う、よく分からない状況の中。自分の元へと現れたステラ。気が付いたら魔法の杖と化していた自分を掘り出そうとする中、彼女に声が届く事に気付き、ツンデレそのものな反応を見せる彼女に惚れこみ。しかし変態まっしぐらな反応を見せた事で嫌われかけて、危うく魔物の餌にされかけるも。何とか彼女の杖となる事に成功し、彼女に連れ帰られる。

 

「―――魔女を殺すのです」

 

さて、しかし連れ帰られても波乱ばかりであった。この世界において魔法のような存在は、精霊の力を借りて行う「聖法」と呼ばれるものであるが、何故かステラは精霊に嫌われており。それは少年が杖に宿っても変わらず。一先ず、この世界の根底に根付き大きな力を行使できる女神に祈る為、お祭りの中で女神像の元へと潜入し。しかし、出会った女神は言う。汝をこの世界へと縛り付けたのは、ステラの無意識の力によるものであり。彼女を殺さねば、元の世界には戻れないという事を。

 

「言ったろ、オタクは推しに還元したいんだ」

 

が、しかし。世界最強のツンデレ推しである少年にとって、そんな事は出来る訳はない。だからこそ彼は叛逆を決意する。女神の思惑なんか知った事か、自分はステラの杖であり、彼女の力となるべく存在するのだ、と。

 

そんな彼女は、その素直になれない反応から周りに誤解を振りまき。更には孤児院出身であると言う生まれから、一部の者達には差別され。それでもひたむきに進んでいく中、彼女の事を知り、その本当の優しさに気付いてくれる人も少しずつ増えていくのだ。

 

その彼女を巡り、裏で様々な思惑が動いていく。この世界を統べる筈の女神、世に疎まれている魔女。それぞれの思惑が巡り、ステラとその杖を中心に動いていくのだ。

 

ツンデレが好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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