読書感想:ウザ絡みギャルの居候が俺の部屋から出ていかない。 (2)

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ウザ絡みギャルの居候が俺の部屋から出ていかない。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品のヒロインであるギャルの従妹、真波の可愛さと魅力は前巻を読まれた読者様であればもうお分かり、なのだと思うので以後その前提条件の元でこの巻の感想を進めさせていただく。ところで前巻を読まれた読者様であれば、ある程度感づかれているかもしれないが、この作品におけるラブコメはまだ始まってもいない、と言っても過言ではない。さて、では今巻では一体何を描くのか。それは勿論、本格的なラブコメの始まりである。

 

 

その相手は、真波なのだろうか。否、真波推しの読者の皆様には申し訳ないが一概にそうとも言えない。この作品は春太と真波、だけのラブコメではない。もう一人、ライバルとなる者がいるのである。

 

 その者は誰か。それは「まゆ姉」と彼に呼ばれていた、かつて彼と約束を果たした初恋の少女。その彼女は一体どこにいるのか。答えは簡単、それは気が付かぬだけですぐ近くに。

 

もう言ってしまおう、その名前を。という訳で核心的なネタバレが嫌いという読者様はここで引き返して、自身の目で確かめてみてほしい。

 

 

その名前は、更紗。春太にだけ塩対応なクラスのアイドル。全く印象が変わったし、大切なものが変わってしまったから気付かなかった。けれど、真波のアシストにより夏休みという舞台の中で二人は向き合い、イメージをすり合わせ。すれ違っていた心と心は向き合い、大切なものを思い出しながら。過去の関係の絆を取り戻し、距離を詰め合っていく。

 

「私は、佐倉くんが好き」

 

真波により導かれた遊園地デート、そこで溢れた彼女の想い。努力したら今度もまた、自分から思いを伝えると言う宣言。春太の中、気が付いた想いは彼女へ向かう。否応なく自覚する、彼女に惹かれ始めているという事を。

 

「ねぇハルちゃん―――月が綺麗だね」

 

 そんな二人の姿を誰よりも間近で見て、応援しようと心に決めた、筈だった。だが、真波の心に痛みは走り、それは嫌だと心が叫ぶ。もっとずっと、彼と一緒がいいと願望が映された夢が叫ぶ。

 

そう、もうお分かりであろう。もう止まれはしない。立ち止まる事は許されぬ。更紗に惹かれていると心は自覚している、けれど真波もまた、妹のような存在ではなく一人の異性である、彼女の想いの向かう先を知ってしまっている。更紗か、真波か。選べる手は、掴める手は二人に一人。

 

だからこそ、もう選ばぬことは選べない。もうすぐそばまで来ているのかもしれない、選択の時は。

 

どこか切なさが増し、ラブコメとしての流れが本格的に始まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、ウザい系のヒロインが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ウザ絡みギャルの居候が俺の部屋から出ていかない。(2) (電撃文庫) | 真代屋 秀晃, 咲良ゆき |本 | 通販 | Amazon