読書感想:ウザ絡みギャルの居候が俺の部屋から出ていかない。

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はギャルなヒロインというと、どんな作品のどのヒロインを思い浮かべられるだろうか。そしてギャルというヒロインに、どんな印象を抱かれているであろうか。

 

基本的に言うと、ギャルという人種はフレンドリー、故に何処かスキンシップ過剰で距離感近め。そんな印象を抱かれている読者様もきっと多い、かもしれない。

 

 そして、それはこの作品のヒロインにおいても当てはまる。この作品のヒロインの名は真波(表紙)。主人公であるごく普通のオタク系高校生、春太の家に居候している従妹である。

 

 

従妹、それは妹ではないけれどまるで妹のような距離感。そんな印象を抱かれている読者の方々もおられるかもしれないが、そこにギャルという人種を組み合わせるとどうなるのか。その答えは簡単、いっそウザい程にべたべたと馴れ馴れしく絡んでくるのである。

 

「天空ペケ字拳と言ってほしいっす」

 

時に勉強の為に参考書を探す春太にいきなりクロスチョップで絡んで来たり。

 

「ねーねー、格ゲーやろうぜ。格ゲー」

 

時に勉強中の春太の部屋に薄着でやってきて、馴れ馴れしくゲームに誘って来たり。

 

周りの人間とは薄く浅く、関りを続けていた。そんな春太の内心をこれでもかとかき乱し、彼のペースを悉く乱し、自分のペースにどんどんと巻き込んでいく真波。

 

だが、だからこそどうしても放っておけない。何だかんだで彼女と過ごす時間は楽しいから。

 

だからこそ気になる、彼女の変化が。それこそ小さなことでも、気付いてしまう程に。

 

「当たり前だろ! お前がそんな目にあってるのに、怒らないわけがあるか!」

 

 だからこそ春太は駆ける。彼女を不登校の檻に追い込んだ奴がいると知った時に全力で。だって彼女には笑っていて欲しいから。彼女に涙は似合わないから。

 

「ハルちゃん。私のためにいろいろしてくれて、本当にありがとう!」

 

ではこの作品は春太と真波のラブコメなのか。そう聞かれると答えは否、そういうしかない。何故なら彼の近くには、ラブコメの芽が確かに芽吹いてるから。

 

「少しずつやっていけば、わかるようになるよ。努力は必ず実を結ぶから」

 

幼き日の春太にそんな言葉を贈られ、それを胸に秀才にまで上り詰めた、素直になれない「彼女」がいる。本心を明かしきれずに、彼の心の壁を乗り越えれず悩む「彼女」がいる。

 

 そんな彼女も交えて過ごす何でもない日々。だからこその何気ない甘さが心に沁みるこの作品。

 

ウザいヒロインも好きな読者の皆様、何でもない日常が好きな読者の皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ウザ絡みギャルの居候が俺の部屋から出ていかない。 (電撃文庫) | 真代屋 秀晃, 咲良ゆき |本 | 通販 | Amazon