読書感想:両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、特別な事など何もなく、ただ惹かれ合い、恋人同士となった訳であるこの作品の主人公である勇也とヒロインである楓。画面の前の読者の皆様、こう思われたのではないだろうか。もう書く事無くない?、と。そう、確かに二人は将来的な結婚を見越した同棲関係であり、恋人同士である。いわば既に完成を迎えた関係、と言っても良いかもしれない。だが、完成を迎えたようで未完成。何故なら例え恋人同士となっても、その先の人生は終わらないからである。

 

では一体、何を描けばよいのか。その答えは様々。何せ彼等は未だ出来たてのカップルであり、本格的に形が定まっていないから。なれば、今巻で二人が見出すのは何か。その答えは、「距離感」。乗り越えるべきステップを音速で飛び越えてきてしまったが故に、いまいち定まっていなかった、丁度良い距離感である。

 

二人だけの家ではしっとりいちゃいちゃと。皆もいる学校でも時に大胆に。伸二や秋穂といった周りの仲間達に胃もたれを齎し、砂糖を吐かせながら。恋人同士となった事で好意を隠さなくなった楓に迫られながら。必死に鉄の自制心で自制し、アプローチをかわし続ける勇也。

 

そんな中、ホワイトデーのお返しをタカさんの奥さんである春美さんと選んでいる所を見られ、楓の誤解を招いてしまい。

 

かと思えば、タカさんと春美さんの娘であり、勇也が大好きな梨香を預かる事になり、楓と梨香の間で可愛らしくもいじらしい取り合いが発生したり。

 

更には、楓の父母に温泉旅行へ招かれ、値踏みしてくる楓の父親に自身の覚悟と想いを示す事になったり。

 

「でもね、楓さん。その未来を掴むためには今のままじゃダメなんだ」

 

 夫婦であってもお互い、一人の人間である。すれ違う事だってあるし、言わなきゃわからぬ事もある。でも、お互いに何もかも晒せるからこそ夫婦である。そして、まだ足りない、彼女の隣に胸を張って立つ為には。だからこそ勇也は努力を重ねる。本当の意味で並んで歩いていく為に。彼女との未来を叶える為に。

 

「俺が至らなくて、寂しい思いをさせてごめん。早く大人になるから、早く大人になって楓さんに寂しい思いをさせないように頑張るから。だから・・・・・・待っててくれるかな?」

 

雨が降って地面が固まる。肩肘張らずに、歩くような速さで、二人の路を歩いていく。二人で壁を乗り越えて、また一つ夫婦になっていく。

 

そう、何度目かの明言になるが、恋人同士となっただけでは終わりではない。まだまだ、描くべき話は残っている。そして、まだまだ本番は続くのである。

 

前巻を楽しまれた読者様、甘々な砂糖テロなラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。2 (ファンタジア文庫) | 雨音 恵, kakao |本 | 通販 | Amazon