読書感想:追放魔術教官の後宮ハーレム生活

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は可憐に戦う女の子はお好きであろうか。ひらひらなドレスを纏った可憐な女の子達が強大な敵を相手に戦う、そんなお話は好きであろうか。

 

好きと言うそこの画面の前の読者の貴方。貴方はこの作品を読んでみてほしい。ではこの作品はどんな作品であるのか。

 

 その答えは、名は体を表すと言わんばかりのド直球なタイトルが全てを現している。後宮という女の子の園でのハーレム。それがこの作品である。

 

舞台となるのは、魔族も魔物もいる王道な異世界。かの世界に、二人の人間が召喚された。一人は大学生の青年、龍騎。もう一人は、この作品の主人公である社会人の青年、勒(表紙左上)。

 

一見、勇者が二人かと思えるこの状況。だがしかし、勒に宿っていたスキルは「魔力錬成」という、誰にでもできるいわば外れスキル。ハズレ認定を受けた彼は、「掃きだめ」と呼ばれる後宮への追放処分を受けてしまう。

 

そこにいたのは、魔法の使えぬ貴族令嬢、リーズロッテ(表紙中央)、南の諸島出身の少女、ティティ(表紙右下)を始めとする、それぞれ戦う力を持たぬ、訳ありの少女達。

 

一見どん詰まりに見えるこの状況。が、しかし。男が存在できぬ後宮で生活する為魔術教官という身分になった勒は気付く。自らのスキルが、実は何でもできる万能スキルであった事を。そのスキルこそが、彼女達を救う鍵となるという事を。

 

当然の事であるのかもしれない。この世界では魔力は全ての人間が持つものであり、人間とは切っても切り離せぬ大事なもの。その魔力そのものを制御し、統べるスキルが弱い訳があるものか。

 

魔術教官として、彼女達の抱える問題へと取り組み。後宮の主として、姫達を悩ます問題へと立ち向かう。

 

偽物の勇者ではなく、その行いで、その背中で。自身の優しさを見せる勒に姫達は惹かれ、彼を勇者として認め慕っていく。

 

彼の元に姫達は集い纏まり、彼の手により身に着けた魔法の力が、姫達を精鋭へと押し上げる。

 

「みんな」

 

「俺と一緒に戦ってくれるか」

 

その成果は、魔に堕ちた偽物の勇者による王宮襲撃事件の折に明らかとなる。勒を司令塔とし、一個の生物であるかのように動き戦う、精鋭となった姫達による無双の力を以て。

 

「私たちは、ロクさまにお仕えする神姫。これからも、ロクさまと共に歩む剣となり、背中を守る盾となり、傷を癒す褥となりましょう」

 

現実世界でも、異世界でも追放された先、やっと見つけた自分の居場所。望んだものはここにある、だからこそもう迷わない、負けはしない。何故なら彼は勇者であり、背中を支えるのは無敵の姫であるのだから。

 

王道ど真ん中、作者様の好きをこれでもかと込めて作られたこの作品。だからこそこの作品は王道的に面白く、心を燃やしてくれるのである。

 

王道なファンタジーが好きな読者様、可憐なヒロインが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

追放魔術教官の後宮ハーレム生活 (ファンタジア文庫) | 琴平 稜, さとうぽて |本 | 通販 | Amazon