読書感想:両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。5

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 一緒に居る為に、これからも共に人生と言う道を歩いていくために。前巻の最後、楓が出した海外に留学すると言う結論。それを止める、という事は勇也に出来るだろうか、と言うと画面の前の読者の皆様はどう思われるであろうか。それを言ってしまえば、我が儘となってしまうかもしれない。ならば勇也に止める事は出来ぬ。だがそれは、関係を続けるうえでは大切な事。許容する、というのも大切な事なのである。

 

 

「長い人生のほんの数年間と思えば我慢出来る」

 

また置いて行かれるのか、あの暗闇の中に戻るのか。そんな波乱に揺れる内心を押し殺し、建前では楓を応援し。言いきれぬ思いを抱えたまま、彼等の元にやってくるのは修学旅行。いつもの五人組で、定番ともいえる京都へ旅行へ行く事となり。他薦の満場一致で秋穂を班長とし、がやがやとしながらも予定を立て、観光へと繰り出すことになる。

 

「二人の将来の為のよりよい選択をするの。いいわね?」

 

その最中も、心が揺れる勇也。彼の滞在するホテルにとある用事も兼ねて現れた貴音は、きちんと向き合う様にと勇也の背を押し。しかし向き合えたのなら、話は簡単である。やはりまだ、未熟な勇也はその一歩を踏み出すことは簡単には出来ず、結局のところずるずると話し合うのを先延ばしにしてしまう。

 

「だからキミの覚悟が聞きたかったんだ」

 

その間にも時が進むのは待ってくれない。三年生となり、更に余裕がなくなっていく中、最後の大会に未練を残した哀が楓をワンオンワンの真剣勝負へと誘い。激突の果て、楓は勇也の知らない所で覚悟を示していく。

 

「でもだからこそ、このままではいけないんです」

 

向き合う事を何となく先延ばしにして、ようやく二人が話し合えたのは、卒業式を迎えてから。一時の別離の前、その最後の一瞬で。ようやく自分の本心を吐露する事が出来て、その上で楓も自分自身の思いを話して。ようやく二人の思いは重なって、結果として一線を越えていくのもまぁ当然の結果であったのかもしれない。

 

「ただいま、勇也君。あなたのお嫁さんになりに来ました!」

 

そして、時は巡り無事に四年後。けじめとして勇也は修行を積む傍らで借金返済に励み。彼の元に、無事に卒業した楓は帰ってくるのであった。

 

時があっという間に過ぎようとも心配いらない、そんな甘さで最後まで駆け抜ける今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

最後まで貴方も満足できるはずである。

 

両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。5 (ファンタジア文庫) | 雨音 恵, kakao |本 | 通販 | Amazon