読書感想:桃瀬さん家の百鬼目録2

 

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前巻感想はこちら↓

読書感想:桃瀬さん家の百鬼目録 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、さてもさても、よもやよもや。古今東西の昔話の英雄達が転生しまるで百鬼夜行が如く暴れ回る浅草。相も変わらず、弟である小太郎に性的に迫られたり、師匠に大人のお風呂に沈められそうになったり。そんないつも通りの日々を過ごす、桃太郎の「記憶」だけを受け継いだ主人公、みろく。

 

だが、この作品は上下巻構成と言っても良い作品であり、この作品は下巻に当たる巻である。では一体何が待っているのか。それは無論、最終決戦。夷狄の姫が軍勢を率いて大侵攻してくるのが今巻である。

 

登場する動物として同じであれば、様々な童話の役柄を兼ねる事もあり。その縁と操られた宿業が、姫を決戦の地である浅草へと呼び寄せ。

 

小太郎を騙し、みろくすらも騙し。顕現するは夷狄の姫。かの有名な御伽噺、月より来たりし姫。

 

そんな強大な敵へと対抗する小太郎とみろくは、果たして未熟なだけの二人なのか。英雄として未熟なのか。

 

「・・・・・・そうだったね。ぼくも・・・・・・半分だけの桃太郎なんだ」

 

否、そういう訳ではない。記憶だけでも力だけでも。ただそれだけでは未熟だけれど。それでも二人が合わされば無敵だから。小太郎とみろく、二人合わせて一人前の「桃太郎」なのである。

 

二柱の神に愛された姉弟が合わされば、どんな敵も恐れるに足らず。だが、一つの事件を解決したとしても事件は続く。姫を倒せど夷狄はまだまだ健在であり、まだまだ世界は広く幾多もの御伽噺が存在しているから。

 

「かわいい孫とかに、愉快な昔話として語るために」

 

だからこそまだまだ止まれない。御伽噺の英雄達はまだまだ止まらず、まるで百鬼夜行の行進が如く、物語の世界を突撃していく。いつかその役目を終え輪廻へ還る時、めでたしめでたしで終わる為に。

 

前巻と今巻、二つ合わせて一つのお話。現代の浅草に転生した御伽噺の英雄達と、そんな彼等が戦う世の闇のお話なのだ。

 

だからこそ、読まれる際は前巻と今巻を纏めて読んでみてほしい。幾多の形を取って描かれる、様々な味が楽しめるこの作品を読んでみてほしい。

 

きっと読み終えた時、貴方は何かに触れているはずである。

 

前巻を楽しまれた読者様、愉快で楽しい御伽噺が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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