読書感想:グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は独特の匂い溢れる図書館はお好きだろうか。幾多もの本に囲まれる、そんな空間にいる時に心安らいだという経験はあられるであろうか。

 

ではもし、図書館がダンジョンであり、本から生まれたモンスターが徘徊していてお宝も隠されていて、しかも命の危険がないとしたら貴方はそんな図書館に行ってみたいだろうか。

 

国内最大の蔵書数を誇る宇伊豆学園。だがしかし、かの図書館はただ蔵書数が多いだけの図書館ではなかった。

 

この図書館の地下、そこには広大勝つ深遠な地下迷宮が広がっていたのだ。幾多もの層に別れた迷宮を、本から生まれたモンスターが徘徊し、その迷宮の中には奇書を始めとしたお宝が存在し、更には適合した者に超常の力を与える魔書が眠る。

 

そう、この学園の図書委員はただの図書委員ではなかった。脱出できさえすれば幾らでも復活できる地下迷宮へとチームを組んで潜り、お宝を求めて探索する探索者達だったのである。

 

そんな探索者へとひょんな事が切っ掛けで仲間入りした少年が一人。この作品の主人公である尊(表紙中央)である。

 

いつも通り仕事をしていたら迷い込み、魔書に偶々適合し。

 

そんなある意味運が良かった彼は、元探検家という過去があった。独りよがりな自分のミスで見ず知らずの人の命を奪ってしまい、失意のうちに探索を辞めたという過去があった。

 

だが、この迷宮はそんな彼をも許容する。全盛期以上の力を与え、不思議な力を与え。何処までも潜ってこいと言わんばかりに、まるで誘うかのように。

 

その誘いに応じるかのように、彼は同じ図書委員達とチームを組み、正確なマップを作る事、そして誰か助けを求める者達を助ける事を目的とし潜っていく。

 

彼はもう一人ではない。元気な留学生である後輩、エスキュナ(表紙右)。救出された恩義故に加入した真っ直ぐな後輩、大国(表紙左)。他のチームから加わった実力者オネエな先輩、旭(表紙上)という仲間がいる。

 

「―――そんな風に、もう笑って流したりしないで」

 

そしていつも変わらず心配してくれる年上の幼馴染、三火もいる。

 

時に既に探索し尽くされたフロアで隠し部屋を見つけたかと思えば、要救助者を救助する為小部屋の主と一戦交え。

 

また更には、巨大なボスである魔物を生み出す神と遭遇し、様々な隊を巻き込んだ合同探索へと乗り出し。

 

「どうだ! 見たか! いくら隠そうが、無駄だ・・・・・・俺は絶対にそこへ行く!」

 

そして勝利の先、自分が掴んだお宝を前にし沸き上がるはあの日の歓び。かつて獣だった自分を思い出させる、だけどあの日とは違う悦び。

 

ここまで聞いて画面の前の読者の皆様はワクワクされただろうか。心躍っただろうか。

 

そう、この作品に溢れているのはそんな心躍る展開の数々なのである。夢と希望と浪漫溢れる舞台に、個性に溢れ魅力に溢れる登場人物達が躍る。それを面白いと言わずして、何を面白いと言えばよいのか。

 

ワクワクする冒険が好きな読者様、チーム戦が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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