前巻感想はこちら↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/06/12/232224
さて、様々な神々が複雑に絡み合い様々な神の強さを垣間見る事のできるこの作品、今巻では一体どんな神が敵として立ち塞がるのか。
その答えをぼかし、一見すると分からぬように言うなれば、砂漠の国の猫の神、そしてその中に潜む、天罰を下す事が存在理由の神に創られた神様、である。
神としての名はアスタルテ、魔王としての名はアスタロト。そして今、人間としての名はアストリッド(表紙右)。彼女を新たな神格奴隷としたギィへと、新たな任務が下される。
その任務とは、祈師が殺されたという、教団と敵対する亡神結社が絡むと予想される事件の解決。そして殺された祈師が神格奴隷としていた神様、シャーディヤを連れ戻せという任務である。
アストリッドとチェルシーを連れ、任務へと向かう先。手を伸ばしてくる亡神教団の刺客。
そして、アストリッドは邂逅する。シャーディヤ、その真名であるとある神。その中に潜む天罰神。彼女達は、アストリッドと浅からぬ因縁を持つ神であったのだ。
本当を言えば戦いたくはない。だが、最早戦う以外に道はなく。倒したくない、元に戻ってほしい。しかし、もう目覚めてしまった。主命にも等しき命令により、かの神は目覚めてしまい抑える事は既にままならぬ。
だからこそ、もう戦うしかない。例え相手がどんなに強大な神だとしても、倒し、彼女を解放する以外に道はない。
涙をこらえ、前を向き。アストリッドは彼女を討つ為に立ち上がり、その一助とならんとチェルシーとギィもそのあとに続く。
討てなければ人類は滅亡する以外に道はなし。だからこそ、討つ。
「―――いいえ、まだよ」
「―――いいや、今、ここで終われ」
正に死力を尽くし、ありったけのあり得るざる可能性を全て叩き潰し。必殺の一撃すらも必殺とならない可能性すらも考えて。
神としては完璧であっても、人としてはまだ未熟。そんなアストリッドを人間として成長させると共に、強大な神ですらも欺き、騙すヤルダバオトの悪辣さと強大さをこれでもかと描く。
作品としての面白さがまた一つ高まると共に、アストリッドとギィ、チェルシーが本当の意味でチームとなる今巻。
前巻を楽しまれた読者様、神々との死闘が好きな読者様は是非読んでみてほしい。
きっと貴方も満足できるはずである。