読書感想:邪神官に、ちょろい天使が堕とされる日々

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、一つお聞きしたいのであるが、天使と聞くと貴方はどの天使を連想されるだろうか。様々な創作上で天使は題材として扱われるが、天使と聞くと何処か神秘的な存在として認識されるだろうか。

 

しかし、この作品のヒロインである堕天使、チェルシー(表紙右)は奴隷である。そして神秘的な所は見当たらぬ、俗っぽい天使である。

 

それは何故か。その理由は彼女の主である、この世界において絶対的な神に仕える神官であるギィ(表紙左)がRPGであれば信仰値がゼロを示しているであろうと容易に想像できるほどに信仰心がない、言わば不良神官だったからである。

 

本当なら奴隷であるはずなのに。ギィはチェルシーを綺麗に着飾り、膝の上に乗せたりして甘やかし、一緒に食事をとったりとこれでもかと甘やかす。

 

そんな彼に応えるかのように、ちょろさを見せながらも基本的にディスるスタンスでいきながら、ちゃんと大切な所では共に並び立ち協力するチェルシー

 

正に一種のケンカップルと言わんばかりの、噛み合っていないように見えて実はしっかりと噛み合っているこの二人。

 

「――構え! 慰めろ、そして、甘やかせ、主さま!」

 

そんな二人が戦うことになるのは何か。それは譲れぬ信念を抱え、絶対の神に敵対する事を選んだ者達。そして、神の威光の名の元に自らの行いを正当化し、拭いきれぬ悪逆を為す悪魔にも等しき人間達である。

 

そも、この世界は神々が覇権を争い戦い合い、全ての敵対する者が滅びへと追い込まれた世界であり。そして勝利し唯一神となった神の名の元に神官達は絶対的な力を持つのである。

 

だけど、それでもギィは自らの敵と定めたのならば、神にすらその刃を突き付け。その傍らに天使としてチェルシーは付き添い。そして、二人が並び立ち支え合うからこそ使うことができる無敵の力がある。

 

これは、骨太で広い世界のファンタジーである。そして、唯一無二の凸凹コンビである主従が世界を旅しながら、自らが定めた悪を倒していく、男子の心のど真ん中に突き刺さってきそうな熱さと疾走感あふれる、爽快感のある面白さ溢れる作品なのである。

 

 

ケンカップルが好きな読者様、凸凹相棒コンビが好きな読者様、王道なファンタジーが好きな読者様にはお勧めしたい。きっと満足できるはずである。

 

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