読書感想:エージェントが甘えたそうに君を見ている。

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は心の中に何処か欠けた部分はあられるであろうか。その心の中の欠落を埋める何かを貴方は持っておられるであろうか。

 

この作品についての感想を書く前に、まずはこの作品のあらすじを見てみんとする。

 

「大丈夫。隼人は何の心配もいらないよ」
とある事情で裏の連中に身柄を狙われている高校生の俺、幸村隼人のボディーガードをしている桐谷紡はかっこいい。
完璧な身のこなしで俺を守ってくれるだけでなくクラスでも人気の男子生徒だ。
しかし、二人きりになると――
「あううううぅ~……こっち向いてよ、かまってよぅ、隼人くぅん……」
男装をといて、甘えたがりの美少女に大変身。可愛すぎる彼女の甘え方に俺の心臓が逆に危ねぇ!
さらに、俺を狙う刺客も変わった女の子(?)ばかりで――
自分にだけ見せてくれるギャップがたまらない美少女達が集うラブコメディ!

 

上記がそのあらすじである。何故まずはあらすじを見せたのか。

 

その理由は、上記のあらすじは確かに真実である。だがしかしラブコメという外装で覆ったこの作品の中身は、異能と異能がぶつかり合うシリアス多めの伝記ファンタジーという事である。

 

主人公である隼人は普通の少年である。と思いきや、トレジャーハンターだった父親の遺産を引き継いだ、未知なる力を秘めている少年である。

 

 

そんな彼を守ってくれるボディーガード。彼、もとい彼女の名は紡(表紙)。かつて隼人の幼馴染であり、遺恨を残して別れ。今、彼と再会した彼女は己の中に宿る「秘宝」と呼ばれる災厄に代わり超常の力を行使し、秘宝を管理し回収する組織の一員である。

 

そして秘宝の力を引き出す鍵、それは各々が心の中に抱えた欠落。心の傷と言う欠落を抱えた者達。

 

では、その欠落を埋めてくれる鍵は何か。それは、大切に思う存在。まるで二つがきっちり組み合わさって完成するパズルであるかのように。

 

誰が敵か味方かも分からぬ五里霧中、事件の渦中に巻き込まれた自分にも教えてもらえぬ事件の全容。

 

だが、確かな事は一つである。それはあの日、大切に思っていた彼女が今、自分の隣にいてくれるという事。

 

「幸村隼人を助けられない、そう思うしかないツグの傷を、俺が埋めるよ」

 

だからこそ、今もう一度始められる。心に抱えた傷をもう一度埋め合う事が出来る。

 

失ったものの代わりに、その空白を、他の何かが埋めてくれる。その埋めてくれる何かはきっと、いつも自分の側にあるもので。

 

心の傷を埋めるような温かさが好きな読者様、異能でぶつかり合う伝記ファンタジーが好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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